抄録 |
目的:大腸癌腹膜播種は術前検査では診断困難で,術中に可及的切除を行って,全身化学療法を行っているのが現状である.対象・方法:2001年から2012年の開腹手術を行った大腸癌同時性・異時性腹膜播種症例65例を対象とした.異時性症例は,再発発見時からの生存期間を検討した.同時性,性別,年齢,主病変の切除,主病変の病理学的所見,術後/術前CEA値,Cur,術後化学療法で2群にわけて予後規定因子をCoxの比例ハザードモデルのステップワイズ変数減少法を用い検討した.結果:全症例の1生率は66.7%,3生率27.2%,MST17.7ヶ月.予後規定因子は,術後/術前CEA値(≦1 vs. >1,ハザード比2.303, p=0.024, MST 19.6ヶ月n=40 vs. 11.2ヶ月n=21)),Cur (B vs. C, ハザード比3.937, p=0.001, MST43.4ヶ月n=16 vs. MST14.5ヶ月n=48),年齢(≦75 vs. >75, ハザード比0.460, p=0.04, MST16.3ヶ月n=43 vs. MST19.6ヶ月n=21),同時性(異時性 vs. 同時性, ハザード比2.356, p=0.039, MST21.5ヶ月n=17 vs. MST17ヶ月n=47)であった.結語: 大腸癌同時性・異時性腹膜播種症例の独立予後規定因子は術後/術前CEA値,Cur,年齢および同時性・異時性であり,有用である可能性が示唆された. |