セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-鏡視下手術 2

タイトル 外P-296:

下部直腸癌に対する腹腔鏡下直腸反転法の検討

演者 中田 健(市立堺病院・外科)
共同演者 福永 睦(市立堺病院・外科), 鈴木 玲(関西労災病院・下部消化器外科), 加藤 健志(関西労災病院・下部消化器外科), 馬場谷 彰仁(市立堺病院・外科), 川端 良平(市立堺病院・外科), 山本 為義(市立堺病院・外科), 川瀬 朋乃(市立堺病院・外科), 木村 豊(市立堺病院・外科), 大里 浩樹(市立堺病院・外科)
抄録 【はじめに】下部直腸癌に対する腹腔鏡下低位前方切除術において,病変が肛門に近い場合,しばしば切離が困難な状況に遭遇する.これは,切離ラインの決定が難しいことと,狭い骨盤底において腹腔内からの縫合器の挿入が困難であることに起因する.直腸反転法は,腹腔内から直腸を肛門拳筋付着部まで剥離し,粘膜面を肛門側に反転させて病変を直視下に確認しつつ切離することが可能であり,腹腔内からの切離が困難な下部直腸早期癌に良い適応となる.【目的】当科で施行した直腸反転法による腹腔鏡下直腸癌手術の手技を供覧し,治療成績について評価することを目的とした.【対象と方法】当科では2011年から反転法による腹腔鏡手術を開始し,現在までに10症例を経験した.これらの症例を対象として,腹腔鏡下での手技的な工夫を検討し,術中の問題点や術後経過についてレトロスペクティブに調査した.【結果】年齢の中央値は67歳(55-75),男性8例・女性2例で,BMIの平均値は22.7であった.肛門縁から腫瘍肛門側までの距離は5.cm(3-7cm)で,手術時間は253分(193-326分),出血量は80ml(10-240ml)であった.術中の膣損傷が1例,直腸を反転したが腸管の厚みで縫合器での切離ができず,電気メスで切離のうえ経肛門手縫い吻合となった症例が1例あった.一時的人工肛門造設率は5/10で50%,1例で術後マイナーリークを認めたが保存的に軽快した.術後在院日数は15日(11-42日)であった.【考察】直腸反転法は,病変部を視認しながら必要なマージンを確保して器械切離・吻合可能な方法であり,腹腔鏡下に腹腔内操作を行う際の視野確保など手術手技的に様々な工夫が必要であるが,安全に施行可能であった.【まとめ】下部直腸癌に対する直腸反転法を利用した腹腔鏡下低位前方切除術は,安全かつ低侵襲で根治性も追及できる有用な治療戦略であると考える.
索引用語 直腸反転法, 低位前方切除術