共同演者 |
荒木 靖三(大腸肛門病センターくるめ病院), 野明 俊裕(大腸肛門病センターくるめ病院), 鍋山 健太郎(大腸肛門病センターくるめ病院), 新垣 淳也(大腸肛門病センターくるめ病院), 的野 敬子(大腸肛門病センターくるめ病院), 小篠 洋之(大腸肛門病センターくるめ病院), 岩谷 泰江(大腸肛門病センターくるめ病院), 佐藤 郷子(大腸肛門病センターくるめ病院), 高野 正博(大腸肛門病センターくるめ病院) |
抄録 |
術中視野や周術期の状態がよく直腸癌に対する腹腔鏡手術は年々増加している.当院でも2008年から積極的に適応を広げ手術を行ってきた.中,短期的手術成績を検討し問題点を明らかにする.2006年11月より2011年12月に腹腔鏡にて初回根治手術(LAC)を行った直腸癌/肛門管癌42例に対し,再発形式と時期に関して開腹(OP)86例を対象に検討を行った.側方郭清は開腹の8例のみに行い,術前放射線治療は行っていなかった. 1) 男女比は20:22,壁深達度はSM9,MP14,A19,Ai1で,リンパ節転移はN0 30, N1 5, N2 3, N3 3で,Stageはstage I 16, II 12, IIIa 6, IIIb 6であった.前方切除26例,直腸切断10例,ISR6例に行い,下部直腸が15例,肛門管癌6例であった.骨盤再発は6例(14.3%),リンパ節再発8例(17.7%)で遠隔再発は8例(17.7%)であった. 2)骨盤再発ではLACの肛門距離(AV)5cm未満は27.8%で,LAC AV 5cm以上の4.2%,OP AV 5cm未満の13.9%に比べ高率で,LACの腫瘍径4cm以上も26.3%とLAC4cm未満の4.2%,OP 4cm以上の8.6%に比べ高率であった.一方,遠隔再発はAV 5cm未満で33.3%,AV 5cm以上の8.33%に比して高率であったが,腫瘍径4cm以上が21.1%,4cm未満が16.7%であった. 3)リンパ節再発は肛門管癌66.7%,下部直腸癌26.7%であった. 4)無再発期間はLACで5-34ヶ月,中央値11ヶ月,OPで3-49ヶ月中央値11ヶ月であった. まとめ 腫瘍径4cm以上もしくはAV5cm以上の直腸癌では骨盤再発,リンパ節再発が高率であった.側方リンパ節遺残は肛門管癌で高率であり,現状では腹腔鏡手術単独での根治治療は困難と考えられた. 結語 直腸癌に対して積極的に適応を広げてきたが,手技の定型化や症例経験を考慮し段階的に適応拡大すべきと考えられた. |