共同演者 |
大田 貢由(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター), 諏訪 雄亮(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 鈴木 紳佑(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 渡邉 純(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 渡辺 一輝(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 田中 邦哉(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 秋山 浩利(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 市川 靖史(横浜市立大・臨床腫瘍科), 國崎 主税(横浜市立大市民総合医療センター・消化器病センター), 遠藤 格(横浜市立大・消化器・腫瘍外科) |
抄録 |
【目的】腹腔鏡下超低位前方切除術(Lap-sLAR)とLap-ISRにおける定型化した手術手技と成績について報告する【適応】sLAR:腫瘍下縁が歯状線より2cm以上口側の症例.sLARの定義は吻合部が歯状線から2cm以内.ISR :T2,あるいはT3で10mm以上口側に腫瘍の下縁が存在またはリンパ節転移(-)で腫瘍下縁が歯状線まで.【手技】sLAR:5-port法.Linear staplerを挿入する右下portは,恥骨上2~3cm頭側,なるべく内側尾側に設置する.直腸の剥離は後壁より開始し,骨盤神経叢の尾側で挙筋上腔を十分に展開しておくと,直腸と骨盤神経,神経血管側(NVB)の剥離面を認識しやすくなる.前壁側では腫瘍の位置によりDenonvilliers筋膜を温存・切離を決定するが,切除する場合では,NVB付近で意識的に直腸側を剥離しNVBの損傷に注意する.骨盤底では括約筋間まで十分に剥離すると直腸切離が行い.肛門側腸管の切離は可能なら1回で切離を行うが,狭骨盤では45mmステイプルを用い,計画的2回切離を行う.ISR:恥骨直腸筋は直腸右壁で認識しやすく,そこから括約筋間へ入る.同様に左壁で括約筋間に入り,次に後壁のhiatal ligamentを切離するとV字の恥骨直腸筋を認識できる.【対象】2008年3月から2012年3月,占拠部位Ra/Rb/P 421症例のうち,Lap-sLAR 36例,ISR 8例.Stage0/I/II/IIIaはそれぞれsLAR 1/22/3/10,ISR 1/7/0/0.【結果】sLARの腫瘍歯状線距離は37.5mm(15‐80),ISR 6.9mm(0-15).吻合部と歯状線の平均距離はsLAR 11.0mm,ISR 1.1mm.平均pDMはsLAR 18.2mm(0-50),ISR 10.3mm(1-20).sLARの肛門側腸管の平均切離回数は1.7回(1-3).縫合不全はsLAR 3例(8.3%),ISR 2例(25%)であった.【結語】Lap-sLAR,ISRでは適切な剥離層を保ち,括約筋間までの十分な剥離によりsurgical marginを確保できた.腫瘍歯状線距離15mmまではsLARが可能と考えられた. |