セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-鏡視下手術 3

タイトル 外P-303:

外科的肛門管内で切離・吻合を要する腹腔鏡下超低位前方切除術における注意点

演者 野中 隆(国立長崎医療センター・外科)
共同演者 永田 康浩(国立長崎医療センター・外科), 平山 昂仙(国立長崎医療センター・外科), 徳永 隆幸(国立長崎医療センター・外科), 北島 知夫(国立長崎医療センター・外科), 原口 正史(国立長崎医療センター・外科), 蒲原 行雄(国立長崎医療センター・外科), 藤岡 ひかる(国立長崎医療センター・外科)
抄録 【はじめに】腹腔鏡下手術の拡大視野効果によって,骨盤深部での正確な肛門管の剥離操作が可能となり,外科的肛門管内での直腸切離を要する症例が増えてきた.今回,当院で施行している下部進行直腸癌での直腸剥離・授動ならびに肛門管内での切離・吻合の要点を述べその結果を検証する.【切離・吻合法】腫瘍の局在に応じて肛門管内剥離を必要最低限行っておく.狭骨盤の男性の肛門管内においては,45mmのリニアステープラーを用いた計画的2回切離が有用である.直腸離断後,サイザーを肛門より挿入し,自動吻合器のヘッドの挿入が可能か否か確認するとともに,直腸壁と恥骨直腸筋の間の剥離の程度を見極め,必要に応じて剥離を追加し,吻合部の腸管壁を確保し器械吻合を行う.【結果】進行下部直腸癌へと適応拡大した2011年4月から2013年1月までに腹腔鏡手術を施行したStageII~IVの進行下部直腸癌(Ra, Rb)35例を対象とした.術前に側方リンパ節腫大を認めた症例には側方郭清を併施し,CRM陽性が危惧される症例には化学放射線療法を施行した.術式はLAR (n=11),s-LAR (n=17),ISR (n=2),APR (n=5).側方郭清は15例に行い,3例は多重癌を認め同時切除を施行した.手術時間は平均328.3分,出血量平均98.6g.術後合併症は縫合不全2例(5.7%),SSI 2例であった.縫合不全を来たした2例は狭骨盤の男性であったが,直腸壁と恥骨直腸筋との間の剥離が困難で,恥骨直腸筋を巻き込んだ状態でアンビルと接合したことが縫合不全の要因と考えられた.【まとめ】 超低位吻合には,拡大視効果を持つ鏡視下手術が有用である.しかし,吻合径と一致した円形の腸管壁余剰を肛門側断端に確保できない場合や恥骨直腸筋が吻合部に巻き込まれるような場合は,ISRへのコンバートも考慮する必要がある.
索引用語 腹腔鏡, 直腸癌