セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
大腸-鏡視下手術 4
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タイトル |
外P-305:高齢者大腸癌症例に対する腹腔鏡手術の有用性の検討
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演者 |
渡邊 学(八千代病院・外科) |
共同演者 |
杢野 泰司(八千代病院・外科), 松原 秀雄(八千代病院・外科), 小林 一郎(八千代病院・外科), 酒徳 弥生(八千代病院・外科), 寺境 宏介(八千代病院・外科), 富永 健太(八千代病院・外科), 弥政 晋輔(八千代病院・外科) |
抄録 |
目的:高齢者大腸癌症例の術後臨床経過を腹腔鏡手術群(以下LS群)と開腹手術群(以下OS群)の間で比較した.さらに手術リスク評価法であるEstimation of Physiologic Ability and Surgical Stress (以下,E-PASS)を用いて両手術群の侵襲度を比較した.方法:2010年1月から2013年2月に施行された75歳以上の大腸癌手術72例を対象に,術式と術後合併症,入院期間の比較を行った.両術式においてE-PASSの術前リスクスコア(PRS),手術侵襲スコア(SSS),総合リスクスコア(CRS)を算出し,在院日数,術後合併症との関連を検討した.結果:対象72症例中,LS群24例,OS群48例であった.LS群とOS群において患者の年齢,重度の心疾患,重度の肺疾患,糖尿病の既往,PS,ASA,大腸癌病期に有意差を認めなかった.術後入院期間はLS群11.33±9.06日,OS群27.0±26.2日とLS群で有意に短かった(P=0.006).術後合併症はLS群6例(25%),OS群23例(47.9%)であり,LS群で少ない傾向にあったが,有意差は認めなかった(P=0.062).個別の合併症を見た場合,SSIはLS群1例(4.2%),OS群10例(20.8%)と有意差は認めないが特に少ない傾向にあった(P=0.064).在院死亡数は72例中3例(4%)でいずれもOS群であった.CRSと入院期間との間には正の相関関係を認めた(r=0.64,P<0.01).CRSと術後合併症発生率の間にも有意な関連を認めた(odds ratio 7.5, 95%CI 1.85 - 31.1, P=0.05).CRSはLS群で-0.069±0.22,OS群で0.54±0.37とLS群で有意に低い値となった(P<0.01)結論:75歳以上の高齢者においてLSはOSと比較して入院期間が短縮でき,合併症も少ない傾向にあることから低侵襲であると考えた.この結果は,EPASSにおいてLS群のSSSが低く,CRSが低くなったことに反映されている.さらにCRSと入院期間,術後合併症発生率とが有意に相関したことから,高齢者大腸癌における腹腔鏡手術のリスク評価としてEPASSが有用であると考えた. |
索引用語 |
腹腔鏡手術, 大腸癌 |