セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-鏡視下手術 4

タイトル 外P-307:

高齢者大腸癌に対する腹腔鏡下手術の短期成績

演者 岩村 宣亜(北野病院・消化器センター消化器外科)
共同演者 吉冨 摩美(北野病院・消化器センター消化器外科), 野村 明成(北野病院・消化器センター消化器外科), 戸田 怜(北野病院・消化器センター消化器外科), 川本 浩史(北野病院・消化器センター消化器外科), 井上 善景(北野病院・消化器センター消化器外科), 門野 賢太郎(北野病院・消化器センター消化器外科), 内田 洋一朗(北野病院・消化器センター消化器外科), 飯田 拓(北野病院・消化器センター消化器外科), 上田 修吾(北野病院・消化器センター消化器外科), 寺嶋 宏明(北野病院・消化器センター消化器外科)
抄録 【目的】近年の高齢化社会に伴い,大腸癌患者に占める高齢者の割合は年々増加している.当院では,巨大腫瘍症例,腸閉塞を来している症例,高度の心肺機能異常により気腹が困難な症例を除き,開腹歴,進行度や腫瘍の局在に関らず,腹腔鏡下手術を適応しており,高齢者に腹腔鏡下手術を行う機会が増えつつある.高齢者大腸癌に対する腹腔鏡下手術の短期成績について,開腹手術と比較検討した.【方法】対象は2010年7月~2012年11月に手術を施行した80歳以上の高齢者大腸癌患者40例.腹腔鏡下手術(以下LAC)群16例と開腹手術(以下OC)群24例の短期成績をretrospectiveに比較検討した.術前の全身状態の評価にはECOG-Performance Status(以下ECOG-PS)を,術後合併症の評価にはClavien-Dindo分類(以下CD分類)を用いた.【成績】背景因子として,心,肺,肝,腎,脳血管疾患や糖尿病などを有する症例や,術前のECOG-PS 2以上の症例の割合には差を認めなかった.手術関連因子として,LAC群で手術時間はやや長い傾向にあったものの(237分/175分,p=0.15),出血量は有意に少なかった(7.5ml/175.5ml,p=0.006).術後経過において,両群で食事開始日,排ガス日に差は認めなかったが,LAC群で歩行開始日,飲水開始日,排便日は有意に早く(1/2日,1/2日,3.5/5日,p=0.02,0.03,0.02),術後在院日数中央値も有意に短かった(13日/19日,p=0.006).術後合併症数の中央値は両群で差を認めず,LAC群における合併症(肺炎2例,腸閉塞2例,創部感染2例,尿路感染1例,前立腺炎1例,神経因性膀胱1例)はいずれも保存的に軽快しており,CD分類 Grade3以上の合併症は認めていない.これに対し,OC群では術後30日以内の死亡症例が1例(肺塞栓)みられた.【結論】腹腔鏡下大腸癌手術は高齢者に対しても安全に施行可能であると考えられる.しかしまだ導入後の時期が浅いため,今後長期成績の検討が課題である.
索引用語 高齢者, 大腸癌