セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-鏡視下手術 4

タイトル 外P-309:

左側大腸癌を有する高齢者大腸癌患者に対する腹腔鏡下手術の安全性に関する検討

演者 岡林 剛史(慶應義塾大・一般消化器外科)
共同演者 長谷川 博俊(慶應義塾大・一般消化器外科), 石井 良幸(慶應義塾大・一般消化器外科), 鶴田 雅士(慶應義塾大・一般消化器外科), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科)
抄録 【背景】急速な出生率の低下と平均寿命の延長により,わが国は急速に超高齢化社会へと向かっているおり,高齢者に対する外科的治療の需要もますます高くなってきている.限りある医療資源の効率的活用の観点から,高齢者に対する適切な術式選択と周術期管理の重要性が求められている.今回,われわれは左側大腸癌を有する高齢者大腸癌患者に対する腹腔鏡下手術の安全性に関する検討を行い,高齢者に対する腹腔鏡下手術の妥当性について検討することを目的とした.【患者】1990年から2012年の間に当院で外科的治療を受けた80歳以上の高齢者左側(S状結腸から直腸)大腸癌患者120例を対象とした.腹腔鏡下手術群と開腹群の2群に分け,術後全合併症発生頻度およぶ創感染発生頻度について比較検討した.【結果】平均年齢は83.3±3.2歳.男女比の内訳は男性75例,女性45例.原発巣の部位はS状結腸70例,直腸S状部16例,直腸34例であり,Stageの内訳はStage I: 25例 II: 40例 III: 34例 IV: 21例であった.腹腔鏡下手術を36例に施行し,開腹手術を84例に施行した.1例で開腹移行を必要とした.39例(30%)(腹腔鏡下手術群 8例 vs. 開腹手術群 31例)に術後合併症を認めたが,両群間に有意差を認めなかった(腹腔鏡下手術群 22% vs. 開腹手術群 37%, p = 0.14).創感染を13例(10%)(腹腔鏡下手術群 2例 vs. 開腹手術群 11例)に認め,同様に両群間に有意差を認めなかった(腹腔鏡下手術群 6% vs. 開腹手術群 13%, p = 0.34).【結語】腹腔鏡下手術は術後合併症を増加させず,安全に施行可能であった.腹腔鏡下手術の低侵襲性からもたらされる術後早期回復の利点を考慮すれば,高齢者に対する腹腔鏡下手術は有効な手術方法であると考えられた.
索引用語 大腸癌, 高齢者