セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-鏡視下手術 5

タイトル 外P-313:

進行下部直腸癌に対する膀胱下腹筋膜を認識した側方リンパ節郭清

演者 河原 秀次郎(東京慈恵会医大柏病院・外科)
共同演者 渡辺 一裕(東京慈恵会医大柏病院・外科), 榎本 浩也(東京慈恵会医大柏病院・外科), 谷田部 沙織(東京慈恵会医大柏病院・外科), 秋葉 直志(東京慈恵会医大柏病院・外科), 小村 伸朗(東京慈恵会医大・外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 【緒言】膀胱下腹筋膜は,上膀胱動脈から膀胱の側面を被って肛門挙筋まで達する厚みのある強靱な筋膜で,上膀胱動脈分岐後の内腸骨動脈(内陰部動脈)とその分枝である尿路生殖動脈は膀胱下腹筋膜内を走行する.側方リンパ節郭清を行う上で極めて重要な局所解剖であるにも関わらずこれまで全く注目されてこなかった.鏡視下手術では膀胱下腹筋膜が容易に認識できるため,側方リンパ節郭清は,膀胱下腹筋膜の外側(閉鎖腔+膀胱側腔),膀胱下腹筋膜の内側と骨盤神経層の間,筋膜内の3つの領域に分けて行うことが新時代の標準的な郭清法である.【膀胱下腹筋膜の外側の郭清】外腸骨動静脈を周囲組織から剥離受動後,大腰筋からリンパ節を含む閉鎖腔の脂肪織を剥離受動する.閉鎖腔の底部に坐骨神経が確認でき,尾側へ剥離を進めると閉鎖神経と閉鎖動静脈の遠位端が確認できる.つぎに膀胱側腔を鉗子を用いて解放すると腹膜外アプローチと同様な術野になる.内外腸骨動脈の分岐部より末梢側に向かって郭清を進めると上膀胱動脈の分岐部に達し,さらに膀胱下腹筋膜に沿って剥離を進めると閉鎖腔および膀胱側腔が郭清される.【膀胱下腹筋膜の内側と骨盤神経層の間の郭清】内陰部動脈の内側縁に沿ってLCSを用いて剥離を進めるとAlcock管入口部近傍の梨状筋に達する.263D組織をいったん骨盤神経層側に移動させ,その後骨盤神経層より263D組織をEnsealを用いて切除すると郭清が終了する.【膀胱下腹筋膜内の郭清】膀胱下腹筋膜は結合織で編んだ厚みのある絨毯のような強靱な筋膜であるため,LCSを用いてshort pitchで血管に沿って組織を切断しながら血管周囲を郭清していく.【考察】膀胱下腹筋膜は内陰部動脈とその分枝である尿路生殖動脈が走行する強靱な筋膜であるため,筋膜の外側,内側および筋膜内の3つに分けた郭清法は,安全かつ合理的な郭清法で新時代における標準的な郭清法と考えられた.
索引用語 側方リンパ節郭清, 膀胱下腹筋膜