セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-鏡視下手術 6

タイトル 外P-317:

下部直腸癌に対する腹腔鏡手術の短期成績ー3術式の比較

演者 大矢 正俊(獨協医大越谷病院・外科)
共同演者 鮫島 伸一(獨協医大越谷病院・外科), 纐纈 真一郎(獨協医大越谷病院・外科), 竹下 惠美子(獨協医大越谷病院・外科), 奥山 隆(獨協医大越谷病院・外科), 菅又 嘉剛(獨協医大越谷病院・外科), 吉羽 秀麿(獨協医大越谷病院・外科), 牧野 奈々(獨協医大越谷病院・外科), 久保田 和(獨協医大越谷病院・外科), 斎藤 一幸(獨協医大越谷病院・外科), 鈴木 麻未(獨協医大越谷病院・外科), 多賀谷 信美(獨協医大越谷病院・外科), 平野 康介(獨協医大越谷病院・外科)
抄録 【目的】演者らが下部直腸癌に対して鏡視下に行っている3つの術式.すなわち器械吻合超低位前方切除術(sLAR),括約筋切除術(ISR),直腸切断術(APR)の短期成績を比較検討した.【対象と方法】2010年6月~13年2月の間に当科でRbまたはPに下縁を有する直腸癌に対して腹腔鏡手術を施行した37例を対象とした.年齢は40~86歳,男性23例,女性14例,術式はsLAR 17例(ハルトマン手術1例),ISR 6例,APR 14例で,sLAR中10例で何らかのストーマを造設した.sLARの2例では予定開腹移行で胃全摘術(胃癌)と子宮摘出術(巨大筋腫)を併施した.側方郭清は1例で完全鏡視下に,2例で直腸切除後の予定小開腹で施行した.開腹移行とその原因,手術時間,術中出血,術後合併症,術後在院期間について検討した.【結果】開腹移行は6例で術式はすべてsLARであり,予定外開腹移行2例は肛門側断端処理困難が原因であった.他臓器合併切除例と側方郭清施行例を除くと,手術時間の中央値(範囲)はsLAR 306 (225-574),ISR 345 (286-428),APR 373 (215-432)分で術式間に差はなく,術中出血量の中央値(範囲)はsLAR 20 (少量-375)g,ISR 100(5-300)g,APR 105(20-440)gとsLARで有意に少なかった.予定小開腹で側方郭清施行2例の手術時間は454分,328分,術中出血量は150g,110gであった.術後のSSIは6例(16%)に生じ,sLAR後の縫合不全1例,ISR後の骨盤内膿瘍1例,APR後の会陰創感染4例であった.その他,イレウスが2例,胃潰瘍出血が1例で発生した.術後入院期間の中央値(範囲)はsLAR 18(8-73)日,ISR 17(13-72)日,APR23 (15-48)日と術式間の差はなかった.【結論】下部直腸癌に対する腹腔鏡手術においてsLAR,ISR,APRの難易度や術後短期成績には大きな差はなかった.側方郭清の際に小開腹を併用する方法は,下部直腸癌に対する腹腔鏡手術の導入において有用と思われた.
索引用語 直腸癌, 腹腔鏡