セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-鏡視下手術 6

タイトル 外P-318:

横行結腸癌に対する腹腔鏡下切除術の実際と工夫

演者 来嶋 大樹(山口大・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 硲 彰一(山口大・消化器・腫瘍外科学), 中尾 光宏(山口大・消化器・腫瘍外科学), 井上 由佳(山口大・消化器・腫瘍外科学), 新藤 芳太郎(山口大・消化器・腫瘍外科学), 兼清 信介(山口大・消化器・腫瘍外科学), 松井 洋人(山口大・消化器・腫瘍外科学), 吉村 清(山口大・消化器・腫瘍外科学), 吉野 茂文(山口大・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大・消化器・腫瘍外科学)
抄録 【はじめに】腹腔鏡下横行結腸癌手術の中でも脾弯部症例は難易度が高い.当科での術式とポイントを供覧する.【適応】cStageで縛りを設けないが,他臓器に著明な浸潤を認める症例や腸間膜根部にバルキーなリンパ節転移を認める症例は適応としない.【手技のポイント】術前に血管走行を把握しておく事が大原則である.1.頭低位とし,左右側腹部に5mmトロッカーを2本ずつ挿入.小腸を右上腹部に移動させ視野を確保し,IMA根部を露出し,根部の郭清を行いつつ,LCAを切離する.次に内側アプローチ同様に腎前筋膜の層を保ちながら膵体尾部の背側まで結腸間膜を授動.下行結腸を外側より授動し,内側からの剥離層と連続させ,IMVを一旦切離しておく.2.水平位とし,横行結腸中央で網嚢を開放し,大網を脾弯に向け切開する.腫瘍が大きな場合やリンパ節転移が著明な場合は,胃壁沿いに辺縁血管を切離し胃大網動静脈リンパ節を摘出する.膵下縁にて網嚢後壁を切開し,切離を膵尾側方向に進める.大網切開を脾弯部に進め脾結腸間膜を切離し脾弯部を完全に授動する.脾皮膜が避けないよう緊張をかけ過ぎない事が肝要である.IMVの中枢側を同定し,脾静脈あるいはSMV流入部近傍で再度IMVを切離する.3.MCA根部の郭清は,十二指腸水平脚とTreitz靱帯上縁をメルクマールにSMA前面の漿膜を切開し動脈根部を郭清の後,左枝を切離する.副中結腸動脈がある症例では根部で切離する.静脈系は動脈以上にバリエーションが多く注意を要するが,通常は中結腸静脈左枝を切離する.腸管が十分に持ちあがるのを確認し,臍の切開創を延長.腫瘍部を含めた結腸を創外に引き出し,残りの腸間膜を処理し機能的端端吻合を行う.【結語】脾弯部の結腸切除のポイントは,結腸間膜背側の広い剥離,IMVの二度切り,上下腸間膜動脈根部の郭清,進行例での胃大網動静脈の合併切除である.難易度は高いが手順を決めた定型化が可能であり,術前の血管確認が重要である.
索引用語 腹腔鏡下横行結腸癌手術, 脾弯