抄録 |
FOLFOX, FOLFIRI, Bmabといった抗がん剤の進歩により高度進行・再発大腸癌の予後は改善している.一方でCR (complete response)を経由して休薬中も再発せずに経過する症例は稀少である.大腸癌肝転移以外の遠隔転移に対し休薬中も安定してCRが維持されている2例を経験したので報告する.【症例】症例163歳,女性.上行結腸癌 T3N2M0, stageIIIb右半結腸切除術・D3リンパ節郭清術・肝S6部分切除術施行.術前腫瘍マーカーはCEA2.0ng/ml, CA19-9 74U/ml.組織型tub2.UGT1A1 Wild.術後経口的UFT・UZEL施行していたが,術後3ヶ月で傍大動脈リンパ節転移を指摘されmFOLFOX6を導入.mFOLFOX6を7コース, その後sLV5FU2を9クール施行した.1年後にCRとなり, 本人の希望により抗がん剤投与は中止となった.休薬後3年5ヶ月, 術後4年9ヶ月CRを維持している.現在の腫瘍マーカーはCEA1.5ng/ml, CA19-9 8.9U/ml.症例272歳, 男性.上行結腸癌 T3N0M1(肝転移S6/7, 右副腎転移, 肺転移), 上行結腸切除術・肝後区域切除術・右副腎摘出術施行.術前腫瘍マーカーはCEA28.7ng/ml, CA19-9 287U/ml.組織型tub1.Kras変異なし.UGT1A1 Wild.肺転移に対して術後mFOLFOX6を導入し, 19コース施行.CRとなり本人希望により休薬となった.休薬後1年, 術後2年4ヶ月CRを維持している.現在の腫瘍マーカーはCEA0.7ng/ml, CA19-9 4.8U/ml.【まとめ】化学療法の進歩により大腸癌遠隔転移に対してComplete ResponseからComplete Remissionに移行する症例が存在する.今後,Cureが期待できる. |