セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい大腸内視鏡検査の工夫

タイトル 内W10-10:

大腸内視鏡検査時の二酸化炭素送気による被験者の苦痛軽減に対しての二重盲検比較試験成績

演者 今井 亜希(札幌社会保険総合病院・内科・消化器科)
共同演者 小野 尚子(北海道大病院・光学医療診療部), 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部)
抄録 【背景】大腸内視鏡検査(CS)は,大腸癌や前癌病変のスクリーニングおよび治療手段として普及している。しかし、CSにおいて機器や挿入技術は着実に進歩・発展してきているものの、挿入時の痛みや送気による腹部膨満感など検査に伴う苦痛は少なくない。内視鏡検査時の送気ガスとして、空気の代わりに腸管からの吸収が迅速な二酸化炭素(CO2)を使用することの利点は、以前より報告されている。二重盲検比較試験としてCS時のCO2送気と空気送気による被験者の苦痛度を経時的に検討した。また、CS時の苦痛高いとされるIBS患者における有用性についても検討した。【対象】健常群60名とRomeIII基準でIBSと診断された48名を対象とした。【方法】対象者を無作為にair群とCO2群に振り分け、ブラインド下に1名の内視鏡医が鎮痛剤・鎮静剤を用いず、すべてのCSを施行した。検査時の苦痛度評価として、腹部膨満感、腹痛に関しvisual analogue scale (VAS)を用い検査前、検査中、検査後の全11回について記入してもらった。【結果】解析対象の88例中、健常群は51例、IBS群は37例であった。Air群43例とCO2群45例の比較では、CO2の症状軽減効果は検査終了後5分以内からみられ、検査終了15分後にはほぼ症状が消失しているのに対し、air群では3時間後まで症状は遷延した。検査中に関しては両症状ともにCO2の効果は認めなかった。健常群とIBS群の比較では、検査後で両症状とも有意にIBS群で症状が強く、検査中は腹部膨満感において有意差は認めなかったものの、腹痛ではIBS群で有意に症状が強かった。CO2の効果はIBS群においてもみられ、検査後の症状軽減に効果を認めた。【結語】CS時のCO2送気は検査中の苦痛には関与しないも、検査後の苦痛緩和に有用であった。IBS患者はCSに伴う苦痛症状が強く、CS時のCO2送気はIBS患者においても有用であった。
索引用語 CO2, 大腸内視鏡