セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-化学療法 3

タイトル 外P-333:

他治療無効大腸がんに対するペプチドワクチン療法第I相試験-治療成績最終報告とバイオマーカーの検討-

演者 硲 彰一(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 井上 由佳(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 松井 洋人(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 新藤 芳太郎(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 渡邊 裕策(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 前田 祥成(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 鈴木 伸明(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 吉村 清(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 吉野 茂文(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 中村 祐輔(東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
抄録 【はじめに】われわれは他治療無効大腸癌患者に対するペプチド療法第I相試験を行い報告してきた.今回最終結果を報告し,効果と関連するバイオマーカーについて報告する.【方法】Oncoantigen(KOC1,TOMM34,RNF43)と血管新生関連分子(VEGFR1,VEGFR2)由来エピトープペプチド5種類を用いた他治療無効大腸癌に対するワクチン療法第I相試験を施行した.今回予後情報を更新し,治療前のリンパ球(%),CRP,CEA,治療前後のCTL反応,抗ペプチド抗体などと予後の関連性について検討し,ワクチン治療のバイオマーカー因子を探索.【結果】各ペプチドを個々に投与した症例が0.5mg:3例,1.0mg:3例,3.0mg:6例,ペプチドカクテル投与症例が3.0mg:6例であった.これら18例の全生存率は1年50%,2年39%,3年11%で,中央値は11ヶ月.予後因子として,治療前にはリンパ球(15%以上vs未満): MST 15M vs 4M ,CRP(1.0 mg/dl未満 vs 以上) :15 vs 3,CEA(100未満 vs 以上):29 vs 4,などが挙げられ,治療後の因子として,CTL反応(3ヶ月以内)に2種類以上:13 vs 2と3種類以上:27 vs 3が挙げられた.抗ペプチド抗体は上昇する症例を認めたが予後との関連はなかった.またリンパ球の割合からCTL誘導能を見ると,15%未満の症例では2コース以内のCTL誘導は平均1個,全経過では2個であり,リンパ球が15%以上の2.93個,3.73個に比較して誘導が不良であった.一方,CRPが1.0mg/dl以上の症例のCTL誘導は,2コース以内で2.33個,全経過で3.33個と,CRP1.0mg/dl未満症例と同等であった.【考察と結語】リンパ球%が低い症例ではCTL誘導能が不良で予後も不良なのに対して,CRP高値症例では,CTL誘導は認めるが予後不良であった.すなわち腫瘍局所の慢性炎症がCTLの攻撃を阻止すると推察され,その制御が重要と思われた.
索引用語 大腸癌, ペプチドワクチン