セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-集学的治療 1

タイトル 外P-339:

術前化学放射線療法(CRT)後の側方転移陽性症例の特徴および側方郭清の有用性

演者 神藤 英二(防衛医大・外科)
共同演者 上野 秀樹(防衛医大・外科), 内藤 善久(防衛医大・外科), 岡本 耕一(防衛医大・外科), 識名 敦(防衛医大・外科), 久保 徹(防衛医大・外科), 深澤 智美(防衛医大・外科), 橋口 陽二郎(帝京大・外科), 山本 順司(防衛医大・外科), 長谷 和生(防衛医大・外科)
抄録 【目的】本邦では下部直腸癌に対しtotal mesorectal excision(TME)に側方郭清を付加することで局所制御を行ってきた.今回,側方転移症例を対象として,術前CRT施行例と非施行例を比較することで,術前CRT施行後に側方転移の認められた症例の特徴について検討した.【方法】治療前cT3以深と診断されCRT施行(4Gy×5日+UFT400mg×7日)後,側方郭清を含む治癒切除が行われた直腸Rb癌76例中,病理学的に側方転移陽性と診断された13例(CRT群,2001-07,側方転移率17%),および術前療法を実施せず側方郭清を伴う治癒切除を行い,側方転移陽性と診断されたpT3以深の直腸癌40例(non-CRT群,1991-2005)を対象とし,臨床病理学的因子および予後について比較した.【成績】1)臨床病理学的因子:両群間で男女比,年齢,組織型,静脈侵襲に差は認められなかった.壁深達度はCRT群ではpMPが4例(31%)に認められた.ly2,3の割合(CRT群 vs non-CRT群: 38% vs 68%, P=0.06)は,non-CRT群で高率の傾向を認めた.2)リンパ節(LN)検索個数および転移個数:総LN検索個数(平均:32.8個vs 47.0個, P=0.03),側方LN検索個数(19.8個vs 28.5個, P=0.07)ともに,CRT群で少数であった.総LN転移陽性数(4.0個vs 5.9個)および側方LN転移陽性数(1.8個vs 1.9個)に差は認められなかった.側方転移部位は両群とも#263(62%vs 75%)が高率であった.3)術後成績:5年局所無再発率はCRT群で68.6%,non-CRT群で58.0%とCRT群で成績良好の傾向(P=0.09)であった.全再発率(5年:36.9%vs 31.1%)および全生存率(57.0%vs 44.9%)に差は認められなかった.【結論】側方転移陽性症例の検討から,CRT群が局所制御の点で優位性が示唆された.CRT後に側方転移を認める症例であっても,側方郭清を追加することで68.6%と比較的良好な5年局所無再発生存が得られた.
索引用語 直腸癌, 側方転移