セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-集学的治療 1

タイトル 外P-340:

StageIV大腸癌に対する治療戦略 ~根治切除不能例に対する原発巣切除の意義について~

演者 石曽根 聡(信州大・消化器外科)
共同演者 小出 直彦(長野県立木曽病院・外科), 奥村 征大(信州大・消化器外科), 高須 香吏(信州大・消化器外科), 竹内 大輔(信州大・消化器外科), 荻原 裕明(信州大・消化器外科), 鈴木 彰(信州大・消化器外科), 宮川 眞一(信州大・消化器外科)
抄録 【背景と目的】根治切除不能大腸癌の治療の中心はあくまで全身化学療法であるが,原発巣切除に関しては明確な基準はない.2005年以降,L-OHP,CPT-11および分子標的薬の使用により,根治切除不能大腸癌患者の余命は飛躍的に延長している.これら抗癌剤治療下における原発巣切除の意義について検討した.【対象と方法】2005年から2012年までの間,当施設で初回治療を行ったStageIV大腸癌症例131例のうち,根治切除不能と判断した75例を対象とし,後ろ向き検討を行った.男性45例,女性30例,平均年齢は65.2才,結腸癌49例,直腸癌26例.【結果】50例は原発巣の切除を先行の後化学療法を施行(切除群),25例は原発巣非切除(12例に人工肛門,1例にバイパス造設)にて化学療法を行った(非切除群).化学療法は一次治療としてL-OHPベースの療法を,2次治療としてCPT-11ベース療法を基本とし,それぞれにBmab,CmabもしくはPmabを併用した.背景因子比較では,年齢,性別,PS,組織型,腫瘍部位,壁深達度,術前マーカー値,肝転移,肺転移,腹膜播種の有無,転移臓器数においていずれも両群間に有意差は認めなかった.両群の全生存率は切除群では中央値19.7ヶ月,非切除群で18.2ヶ月であり,両群間で有意差は認めなかった.非切除群において,化学療法開始後に原発腫瘍関連の合併症を来した症例は6例(24%)であり,内訳は閉塞症状2例,腫瘍出血2例,その他2例であった.【まとめ】切除不能の転移巣を有する場合,原発巣の切除の有無において生存期間に差は認めなかった.症状がない場合は原発巣の切除は必ずしも必要ない可能性が示唆された.一方,治療中に腸閉塞やや出血などを発症する可能性もあり,必要に応じて外科切除を考慮すべきである.
索引用語 大腸癌, 原発巣切除