共同演者 |
纐纈 真一郎(獨協医大越谷病院・外科), 竹下 恵美子(獨協医大越谷病院・外科), 吉羽 秀麿(獨協医大越谷病院・外科), 菅又 嘉剛(獨協医大越谷病院・外科), 久保田 和(獨協医大越谷病院・外科), 牧野 奈々(獨協医大越谷病院・外科), 斎藤 一幸(獨協医大越谷病院・外科), 平野 康介(獨協医大越谷病院・外科), 多賀谷 信美(獨協医大越谷病院・外科), 鮫島 伸一(獨協医大越谷病院・外科), 大矢 雅敏(獨協医大越谷病院・外科) |
抄録 |
【目的】 本邦においては進行直腸癌に対する治療戦略として, TMEや側方郭清, 放射線療法, 化学療法を組み合わせて治療を行っているが, その戦略に科学的コンセンサスを得られたものはない. 一方, 欧米では術前化学放射線療法 (CRT) が標準治療として確立しているが, 周術期合併症の増加や機能障害など様々な問題が存在する. 我々は進行直腸癌に対する術前化学療法 (NAC) がCRTに代替しうるかを検討しており, さらに進行直腸癌治療におけるNACの位置づけを探索し報告している. 今回は少数例ではあるがNACのレジメン変更により, 以前より高い治療効果が得られているため症例を追加し報告する.【対象と方法】 対象は2010-2012年11月の間に, 治療前の画像診断にて深達度A以深と診断された進行下部直腸癌48例である. 方法は同時期に治療されたCRT群や手術単独 (SA) 群とNAC群とをretrospectiveに比較検討した. NAC群13例, CRT群13例, SA群22例であった. 術前治療は年齢75歳以下でPS 0~1のものを対象とした. NACはmFOLFOX6を基本レジメンとして2~9コース施行していたが, 現在ではSOX+Cmabを2コース施行している. CRTは経口5FU製剤併用で1.8Gy×25回 (計45Gy) を全骨盤腔に照射した. 【成績】術前治療効果をNACとCRTで比較すると, 深達度の改善5/13 (38.5%), 8/13 (61.5%), 組織学的効果 (Grade0/1a/1b/2/3) 4 / 5 / 0 / 4 / 0, 1 / 5 / 2 / 2 / 3, 側方リンパ節消失4/4, 3/3, down stage 両群共に10/13 (76.9%), 括約筋温存は6/13 (46.2%), 5/13 (38.5%)であった. CRT群の3例 (23.1%)でCRが得られた. NAC群, CRT群, SA群についてSSIを比較するとCRT群, SA群でそれぞれ6例に発生したが, NAC群での発生はなかった. 再発はSA群で5例 (局所3例, 肺2例) に, CRT群1例 (肝1例) にみられたが, NAC群には現在のところみられていない. 【結論】以上より, NACは進行直腸癌の術前治療として有用であることが示唆された. |