セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-集学的治療 1

タイトル 外P-341:

進行下部直腸癌に対する治療戦略

演者 奥山 隆(獨協医大越谷病院・外科)
共同演者 纐纈 真一郎(獨協医大越谷病院・外科), 竹下 恵美子(獨協医大越谷病院・外科), 吉羽 秀麿(獨協医大越谷病院・外科), 菅又 嘉剛(獨協医大越谷病院・外科), 久保田 和(獨協医大越谷病院・外科), 牧野 奈々(獨協医大越谷病院・外科), 斎藤 一幸(獨協医大越谷病院・外科), 平野 康介(獨協医大越谷病院・外科), 多賀谷 信美(獨協医大越谷病院・外科), 鮫島 伸一(獨協医大越谷病院・外科), 大矢 雅敏(獨協医大越谷病院・外科)
抄録 【目的】 本邦においては進行直腸癌に対する治療戦略として, TMEや側方郭清, 放射線療法, 化学療法を組み合わせて治療を行っているが, その戦略に科学的コンセンサスを得られたものはない. 一方, 欧米では術前化学放射線療法 (CRT) が標準治療として確立しているが, 周術期合併症の増加や機能障害など様々な問題が存在する. 我々は進行直腸癌に対する術前化学療法 (NAC) がCRTに代替しうるかを検討しており, さらに進行直腸癌治療におけるNACの位置づけを探索し報告している. 今回は少数例ではあるがNACのレジメン変更により, 以前より高い治療効果が得られているため症例を追加し報告する.【対象と方法】 対象は2010-2012年11月の間に, 治療前の画像診断にて深達度A以深と診断された進行下部直腸癌48例である. 方法は同時期に治療されたCRT群や手術単独 (SA) 群とNAC群とをretrospectiveに比較検討した. NAC群13例, CRT群13例, SA群22例であった. 術前治療は年齢75歳以下でPS 0~1のものを対象とした. NACはmFOLFOX6を基本レジメンとして2~9コース施行していたが, 現在ではSOX+Cmabを2コース施行している. CRTは経口5FU製剤併用で1.8Gy×25回 (計45Gy) を全骨盤腔に照射した. 【成績】術前治療効果をNACとCRTで比較すると, 深達度の改善5/13 (38.5%), 8/13 (61.5%), 組織学的効果 (Grade0/1a/1b/2/3) 4 / 5 / 0 / 4 / 0, 1 / 5 / 2 / 2 / 3, 側方リンパ節消失4/4, 3/3, down stage 両群共に10/13 (76.9%), 括約筋温存は6/13 (46.2%), 5/13 (38.5%)であった. CRT群の3例 (23.1%)でCRが得られた. NAC群, CRT群, SA群についてSSIを比較するとCRT群, SA群でそれぞれ6例に発生したが, NAC群での発生はなかった. 再発はSA群で5例 (局所3例, 肺2例) に, CRT群1例 (肝1例) にみられたが, NAC群には現在のところみられていない. 【結論】以上より, NACは進行直腸癌の術前治療として有用であることが示唆された.
索引用語 直腸癌, 術前治療