セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-集学的治療 1

タイトル 外P-343:

Fiber通過不能T4大腸癌に対するステント留置併用術前化学療法の経験

演者 小池 淳一(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科)
共同演者 船橋 公彦(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 塩川 洋之(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 牛込 充則(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 新井 賢一郎(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 松田 聡(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 鈴木 孝之(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 甲田 貴丸(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 金子 智秋(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 栗原 聰元(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 島田 英昭(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 金子 弘真(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科)
抄録 大腸癌イレウスは,近年大腸ステント留置の選択肢が増え,治療方針も変化しつつ有る.一方で局進行直腸癌に対する術前治療も化学放射線治療に加え,化学療法単独で行う術前治療が注目される様になり,多くの臨床試験が進行している.当科では2005年より積極的に術前mFOLFOX6療法を導入し良好な成績が得られているが,ほぼ全例に一時的人工肛門が必要であった.大腸ステント留置中の化学療法は穿孔や膿瘍形成などの合併症の危険があり推奨されておらず,当科でも積極的には行っていないが,人工肛門に対して受け入れが不良な場合,慎重かつ十分なICが得られればステントも選択肢の一つと考えられる.今回,fiber通過不能なRs直腸癌症例に対し大腸ステント挿入後に術前mFOLFOX6療法を行い,一期的に根治術を行った症例を経験したので報告する.症例は74歳の女性,近医の大腸内視鏡検査で直腸Rsに全周性の進行癌を指摘され精査目的に当院紹介.腹部CTにて遠隔転移を認めたなかったが,S状結腸から直腸Rsにかけて壁肥厚と子宮への直接浸潤が疑われた.一時的人工肛門造設を行う方針としていたが,人工肛門への強い拒否があり大腸ステントによる減圧を行う方針とした.大腸ステント留置後,術前mFOLFOX6療法を2クール行ったところ血中CEA値が正常化し,腹部CT検査でも著名な腫瘍の縮小を認めた.その後化学療法継続予定であったが,転倒にてPS3となったため手術となった.術前治療中の有害事象はgrade2の倦怠感と食欲低下を認めた.原発巣は子宮底部の漿膜に限局した浸潤であったため局所切除でR0となり,術中の腹水細胞診はclassIVであったが明らかな播種結節を認めなかったため高位前方切除(D3) を行った.経過良好にて術後18病日で退院となった. 局所進行Rs大腸癌にステント留置併用術前化学療法が有効であった1例を経験したので,若干の文献考察を加え報告する.
索引用語 術前化学療法, ステント