セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-集学的治療 2

タイトル 外P-345:

術前化学放射線療法を行った下部直腸癌の術後補助化学療法の現状と問題点

演者 山下 公大(神戸大・食道胃腸外科)
共同演者 角 泰雄(神戸大・食道胃腸外科), 金光 聖哲(神戸大・食道胃腸外科), 高瀬 信尚(神戸大・食道胃腸外科), 音羽 泰則(神戸大・食道胃腸外科), 瀧口 豪介(神戸大・食道胃腸外科), 裏川 直樹(神戸大・食道胃腸外科), 友野 絢子(神戸大・食道胃腸外科), 山本 将士(神戸大・食道胃腸外科), 今西 達也(神戸大・食道胃腸外科), 中村 哲(神戸大・食道胃腸外科), 鈴木 知志(神戸大・食道胃腸外科), 田中 賢一(神戸大・食道胃腸外科), 掛地 吉弘(神戸大・食道胃腸外科)
抄録 【はじめに】当院では局所進行直腸癌に対し局所制御と予後改善を目指して術前の化学放射線療法(chemoradiotherapy;CRT)を施行している.NCCNガイドラインでは,術後補助化学療法を推奨している.当院でも原則全例に補助化学療法を奨めている.当院でのCRT後の下部直腸癌症例に対する当院における術後補助化学療法の現状を検討する.【方法】2005年1月から2012年12月の間に当院にてCRT後手術を施行した下部直腸癌症例29例を対象とした.各項目における術後補助化学療法の導入率と導入までの期間を検討した.【結果】治療成績は5年全生存率89.6%(平均観察期間36.1ヶ月),局所再発率10.3%,遠隔転移17.2%と良好なる成績を得た.全体での術後補助化学療法を施行した症例は19/29例(65.5%)と導入率が低く,術後補助療法導入までの期間は69日とやや長期間に及んだ.術後合併症なし;92.3 %,あり;43.8%(p=0.006)と有意差を認めた.一方で,手術術式別の導入率は,腹会陰式直腸切断術;61.9% ,肛門温存手術75%,アプローチ法でも開腹手術;68%,腹腔鏡手術;77%でいずれも有意差は認めなかった.【考察】進行下部直腸癌における術前CRTは有用であるが,予後改善のためには術後補助化学療法に必須であると考える.術後補助化学療法の導入率,導入までの期間がやや不良であった.術後合併症の有無により,導入率と期間の違いが大きい.今後の課題としては,腹腔鏡手術の導入による低侵襲化と合併症軽減のための工夫を行うことと,考える.患者QOLだけでなく,予後にも影響する可能性があり,今後も検討を重ね,直腸癌治療成績の予後改善につとめたい.
索引用語 直腸癌, 術後補助療法