セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-集学的治療 2

タイトル 外P-346:

根治切除を目指した仙骨浸潤を伴う直腸癌に対する治療戦略

演者 田中 宏典(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 硲 彰一(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 徳光 幸生(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 井上 由佳(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 松井 洋人(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 北原 正博(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 新藤 芳太郎(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 橋本 憲輝(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 鈴木 伸明(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 吉村 清(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 上野 富雄(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 吉野 茂文(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
抄録 【緒言】後方浸潤直腸癌に対する仙骨合併切除は術後合併症や機能障害が少なくないため,術前の化学(放射線)療法にて可及的に縮小させることが望まれる.当科での仙骨合併切除症例の経験から治療戦略を考察した.【対象と結果】1998年以降に当科で施行した仙骨合併切除症例は5例で,うち3例は2012年に施行された.男性3例,女性2例で年齢は48~70歳(平均57.6歳),原発性直腸癌が2例,局所再発が3例.局所再発例の初回手術術式は低位前方切除術が2例,直腸切断術が1例,初回手術から再手術までの期間は25ヶ月,28ヶ月,29ヶ月であった.全例で術前補助療法が施行され,その内容と効果は放射線療法(36Gy)単独でSD,化学放射線療法(CPT-11/5-Fu+50Gy)でPR,化学放射線療法(CPT-11/TS-1+40Gy)でSD,化学療法(C-mab+mFOLFOX6)でPR,化学療法(C-mab単剤)でSDであった.術式はS1下端以下切除,S2以下切除,S3以下切除,S3以下切除,S5以下切除であった.術中出血量は初期は33,000ml,6,550mlと多量であったが,2012年施行例では術前の仙骨動脈への塞栓術,仙骨切除時の整形外科との連携により1,815ml,2,730ml,6,000mlと明らかに減少した.S1下端以下切除は歩行器歩行,S2以下切除で杖歩行となり,S3, S5以下切除では歩行障害を認めなかった.初期の2例は術後6ヶ月目と術後21ヶ月目に腫瘍死し,2012年施行例は1例で術後単発の肺転移を切除し12ヶ月間再発なく,2例は無再発生存中(9ヶ月,13ヶ月)である.【考察・結語】術前補助療法では化学放射線併用療法が推奨され,今後C-mabを含む化学放射線療法のエビデンスが蓄積されることが望まれる.仙骨切離線と術後歩行機能に関して,S3以下切除では歩行障害を認めず,S1下端, S2以下切除では歩行補助具や装具が必要となる可能性がある.術前化学放射線療法,術前塞栓術,整形外科との密な連携により安全な機能温存手術が可能となる.
索引用語 進行再発直腸癌, 仙骨合併切除