セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-診断 1

タイトル 外P-354:

大腸癌における術前CT画像上の腫瘍近傍spiculationの臨床病理学的意義に関する検証的検討

演者 阿尾 理一(防衛医大・外科)
共同演者 上野 秀樹(防衛医大・外科), 神藤 英二(防衛医大・外科), 内藤 善久(防衛医大・外科), 山本 順司(防衛医大・外科), 長谷 和生(防衛医大・外科)
抄録 【はじめに】CT画像上の深達度診断は,腫瘍領域の腸管壁の肥厚と周辺脂肪組織の形態変化から評価されることが一般的である.2010年1月から同年12月までの間に外科的切除された大腸癌221例を対象として,術前CT画像上の腫瘍直下の脂肪組織の毛羽立ち状のCT値の上昇(spiculation;SP)について検討した結果,SPは35.7%に認められ,SPは壁深達度と静脈侵襲との間に有意な相関が認められた(第68回日本消化器外科学会総会にて報告予定).今回,これらの結果に関する検証的検討を行った.【方法】2011年1月から同年12月までの間に外科的切除された大腸癌212例を対象とした.術前CTの2D画像で観察されるSPの有無をretrospectiveに評価した.(1)腫瘍深達度との関連,(2)リンパ節転移との関連,(3)血行性転移との関連について検討した.【結果】(1)SPは68例(32.1%)に認められた.SPの陽性率を深達度別に見ると,pM:0%,pSM:2.8%,pMP:9.1%,pSS(pA):39.4%,pSE:51.6%,pSI(pAI):75.0%であり,深達度が深くなるにつれてSPの陽性率が高率であった(p<0.001).SP陽性をSS以深の判定基準とした場合,SS以深であることの陽性的中率は95.6%であった.しかし,SPの有無によるSSとSEの鑑別は不可能であった.(2)リンパ節転移陽性率において,SP陽性例と陰性例とを深達度別に検討したところ両者の有意な関連は存在しなかった.同様にリンパ管侵襲の程度における有意な関連も認めなかった.しかし静脈侵襲に関しては,SP陽性症例では深達度にかかわらず有意に静脈侵襲の程度が高度であった(p=0.050).(3)pSS(pA)大腸癌に限り,血行性転移(肺・肝転移)陽性率について検討したところSP陽性症例で有意に高率であった(p=0.041).【結語】今回の結果は,SPの出現頻度,組織学的深達度・静脈侵襲程度・血行性転移有無との相関において前回の検討結果と近似するものであった.SPは深達度予測上有用であり,悪性度を示す所見と考えられた.
索引用語 大腸癌, spiculation