セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-診断 1

タイトル 外P-356:

骨盤計測による直腸癌手術の難易度予測

演者 坂本 義之(弘前大・消化器外科)
共同演者 諸橋 一(弘前大・消化器外科), 室谷 隆裕(弘前大・消化器外科), 高橋 誠司(弘前大・消化器外科), 小山 基(弘前大・消化器外科), 村田 暁彦(弘前大・消化器外科), 袴田 健一(弘前大・消化器外科)
抄録 【目的】狭骨盤における直腸癌手術では,直腸の授動や吻合操作に難渋することが多く,手術時間遅延や出血量増加さらには縫合不全などの術後合併症を惹起する可能性が考えられる.術前に狭骨盤を見分けることは,低位前方切除術における腹腔鏡の術式選択や予防的ストーマ造設などの手術適応や安全性を見極める上で有用であると思われる.今回,CT画像を用いた骨盤計測により個体差や性差を明らかとして,手術難易度や合併症危険因子の予測が可能か否か検討した.【対象】2004年4月から2012年3月に当科で経験した直腸癌に対する低位前方切除術症例112例を対象とした.【方法】術前の腹部骨盤造影CT画像を用いて骨盤計測(ボリュームレンダリング法)を行い,各計測項目(産科真結合線・闊部前後径・峡部前後径・出口部前後径・骨盤開角度・入口横径・骨盤峡部横径)を測定した.それらの項目と患者背景因子(性別・年齢・体重・BMI)・手術因子(手術時間・出血量)・術後合併症(縫合不全など)について評価を行った.【結果】骨盤体積は今回測定した骨盤開角以外の峡骨盤関連因子と少なからず相関があり,強い相関関係が認められた因子は闊部前後径>産科真結合線>骨盤峡部横径であった.相関関係の強いこれらの測定は,骨盤体積を反映させ得る可能性があり,狭骨盤の指標になる可能性が示唆された.手術時間180分以上の症例は骨盤体積が平均709cm3と有意に狭かった.しかし,狭骨盤因子および骨盤体積の大小は,術後合併症や縫合不全と有意差は認められなかった.【考察】今回骨盤体積測定による狭骨盤は手術時間遅延と有意な関連が認められた.しかし,骨盤の形状や体格差などの影響があり,一概に狭骨盤が手術難易度の予測や術後合併症の危険因子には直結していなかった.今後は骨盤計測による骨盤の各計測値や身長・体重などから,骨盤の形状・骨盤の深さなどを反映させた手術難易度の予測が可能となる新たな指標を導き出すことが望まれる.
索引用語 直腸癌, 骨盤計測