セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-診断 1

タイトル 外P-357:

当科の大腸癌他臓器・組織浸潤症例における臨床病理学的検討

演者 山野 智基(兵庫医大・外科(下部消化管外科))
共同演者 小林 政義(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 浜中 美衣(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 山岸 大介(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 久野 隆史(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 塚本 潔(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 野田 雅史(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 松原 長秀(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 冨田 尚裕(兵庫医大・外科(下部消化管外科))
抄録 大腸癌においては他臓器浸潤例であっても,切除によって治癒切除可能と考えられれば積極的に合併切除が行われる.しかしながら手術所見では浸潤が疑われた病変で合併切除を行って,病理検査の結果は癌浸潤が見られない症例も経験する.前立腺・膀胱浸潤の場合,合併切除を施行した場合は尿路変更などを伴うため著しくQOLを損なうことになる.そこで今回当科において他臓器合併切除を行った症例の臨床病理学的検討を行った.2007年から2012年に当科で原発巣切除を行った症例のうち臨床的他臓器・組織浸潤症例は86例であった.そのうち病理学的にも浸潤が認められた症例は44例,42例には明らかな浸潤が認められなかった.臓器別でみると膀胱は9例/19例,精嚢・前立腺は4例/6例,子宮・卵巣・膣は8例/14例,消化管は12例/28例と約半数に病理学的浸潤が見られたが腹壁・腹膜への浸潤は7例/25例と病理学的浸潤は半数以下であった.病理学的浸潤の有無で年齢,性別,組織型,原発部位,病期に差は見られなかった.病理学的因子である間質量,INF,脈管侵襲,リンパ節転移度にも病理学的浸潤の有無で差は無かった.またStageII,IIIa,IIIbの3年無再発生存率はそれぞれ81%/81%(病理学的浸潤有/無),62%/57%,50%/33%であり,再発に関しても病理学的浸潤の有無は影響を与えなかった.これらの結果から病期分類で他臓器浸潤の有無を考慮していないのは妥当であり,手術所見での癌浸潤例の約半数が病理学的浸潤例であることを考慮に入れる必要があると考えられた.
索引用語 大腸癌, 浸潤