セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-診断 1

タイトル 外P-358:

大腸粘液癌における臨床病理学的検討

演者 弓削 浩太郎(久留米大)
共同演者 赤木 由人(久留米大), 石橋 慶章(久留米大), 大地 貴文(久留米大), 岡 洋右(久留米大), 衣笠 哲史(久留米大), 岐部 史郎(久留米大), 笹富 輝夫(久留米大), 田中 夏樹(久留米大), 溝部 智亮(久留米大)
抄録 はじめに大腸腺癌のうち,大部分は高分化および中分化型腺癌である.本邦の大腸癌取扱い規約では,細胞外に多量の粘液を産生し,粘液の結節を形成する腺癌を粘液癌と定義している.一般的にその予後は不良とされている.今回我々は,大腸粘液癌と分化型腺癌を比較検討したので報告する.方法1986年から2008年で当大学病院大腸外科で手術され,病理組織学的に粘液癌,分化型腺癌と診断された1233症例を後ろ向きに検討した.統計学的処理は,χ2検定,t検定を用いた.生存率はKaplan-Meier法に従って算出し,Logrank検定を行った.多変量解析はCox比例ハザードモデルで行った.いずれもp<0.05で有意差ありとした(解析はJMP 10を使用)結果1233症例のうち60例が粘液癌,1173例が分化型腺癌であった.分化型腺癌と比較して粘液癌は女性,右結腸,浸潤型,(亜)全周性病変,腫瘍径の大きい症例,T3以深の症例が有意に多かった.粘液癌のMSTは67か月であり,分化型腺癌の144か月と比較して有意に予後不良であった(log rank:P=0.0102).粘液癌の予後因子の検討では腫瘍占拠部位のみ有意差を持って予後因子として示された(HR:2.12, P=0.0027).結論大腸粘液癌の頻度は少ないものの,頻度の多い分化型腺癌より予後不良であり,術後注意深く観察されるべきである.
索引用語 大腸粘液癌, 臨床病理学的検討