セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-診断 2

タイトル 外P-360:

StageII大腸癌先進部におけるSLAおよびSLX発現とその臨床的意義

演者 山寺 勝人(防衛医大・外科)
共同演者 神藤 英二(防衛医大・外科), 上野 秀樹(防衛医大・外科), 内藤 善久(防衛医大・外科), 識名 敦(防衛医大・外科), 岡本 耕一(防衛医大・外科), 久保 徹(防衛医大・外科), 深澤 智美(防衛医大・外科), 山本 順司(防衛医大・外科), 長谷 和生(防衛医大・外科)
抄録 【背景/目的】Sialyl Lewis A(SLA),Sialyl Lewis X(SLX)は血管内皮に発現するE-セレクチンのリガンド糖鎖であり,特に癌での発現が血行性転移に強く関与することが知られている.また,臨床検討においても大腸癌でのリンパ節転移や肝転移との相関,予後予測因子としての有用性などの報告が散見される.今回我々はStageII大腸癌の先進部における,SLAおよびSLXの発現を組織マイクロアレイを利用して,免疫組織学的に評価し,その臨床的意義について検討した.【方法】1997年1月から2005年12月までの間に当科で切除されたStageII大腸癌314例の切除検体を用い,腫瘍の発育先進部2ヶ所から2mmの円柱状組織を採取することで組織マイクロアレイを作成した.各種抗体(SLA,SLX)を用いて免疫組織化学染色を施行.マイクロアレイ内に含まれる癌細胞のうち20%以上に染色性が認められる場合を高発現と判定.2ヶ所とも高発現を示す症例を陽性例とし,臨床病理学的所見および予後との相関について検討を行った.【結果】1)臨床病理学的因子との相関:SLA,SLXともに年齢,性別,占居部位,腫瘍径,深達度,組織型,脈管侵襲との相関は認められなかった.SLA,SLXともに腫瘍先進部にて低分化傾向を示す領域で染色性が増す傾向があるとともに,SLA,SLXのいずれも陽性例では簇出高度(G2/3)(各々28% vs 15% p=0.01, 29% vs 19% p=0.03)の症例が高率に認められた.2)術後成績との相関:5年生存率(Overall Survival)については, 簇出,SLA,SLXいずれも単独では予後因子として有意ではなかったが(91% vs 85%, 92% vs 88%, 89% vs 92%),簇出高度かつSLA陽性例は生存率が不良の傾向を認め(92% vs 85% p=0.06),簇出高度かつSLX陽性例は有意に不良であった(92% vs 77% p<0.001).【結語】大腸癌先進部におけるSLA,SLX発現は簇出と有意な相関を認めた.また,SLX発現は予後との相関を認め,これらの所見はStageII大腸癌のうち高悪性度症例選別に利用できる可能性が示唆された.
索引用語 大腸癌, Sialyl Lewis