セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-診断 2

タイトル 外P-363:

大腸癌根治切除症例における腹腔内脂肪と予後の関係

演者 宮本 裕士(熊本大・消化器外科)
共同演者 坂本 快郎(熊本大・消化器外科), 井田 智(熊本大・消化器外科), 石本 崇胤(熊本大・消化器外科), 岩上 志朗(熊本大・消化器外科), 馬場 祥史(熊本大・消化器外科), 吉田 直矢(熊本大・消化器外科), 渡邊 雅之(熊本大・消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大・消化器外科)
抄録 【目的】Stage I-III大腸癌根治切除症例における腹腔内脂肪量と予後の関係を調べることを目的とした.【方法】対象は2005年1月から2009年12月までに当院で根治切除を行ったStage I-III大腸癌症例183例のうち,評価可能な166例を対象とした.画像解析ソフトを用いて術前CTにおける腹腔内脂肪量(VFA)と皮下脂肪量(SFA)を測定した.VFA/SFAを腹腔内脂肪量の比率とし,中央値で分けた高値群(n=83)と低値群(n=83)の2郡間で無再発生存期間(RFS),全生存期間(OS)の比較を行った.また,VFA/RFAと術前の全身性炎症反応(白血球数,好中球/リンパ球比(NLR)とmGPS(modified Glasgow prognostic score))との関連性を調べた.【成績】166例の内訳は年齢70歳,男:女は57%:43%であった.結腸:直腸は76%:26%,Stage I:II:IIIはそれぞれ31%:37%:31%であった.VFA/SFA高値群と低値群の患者背景の比較では高値群で男性が有意に多い以外,差は認めなかった.RFSは高値群が低値群比べ有意に予後不良であった(5yrRFS:63 vs. 82か月,P=0.021).OSは有意差を認めなかった.また,VFA/SFA比率と全身性炎症反応の関連性については,高値群は白血球数(P=0.012)及びNLR値(P=0.043)が有意に高かった.RFSについて多変量解析を行った所(解析因子:VFA/RFA,性別,原発部位,組織型,Stage,術前CEA値),VFA/RFA(HR=2.31,P=0.027),Stage(HR=4.815,P=0.001),術前CEA値(HR=1.001,P=0.02)が独立した予後因子であった.【結論】Stage I-IIIの大腸癌根治切除症例において,腹腔内脂肪量の比率が高い症例ほど有意に予後不良であり,これには術前の全身性炎症反応が関連していることが示唆された.
索引用語 大腸癌, 肥満