セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-周術期管理

タイトル 外P-366:

高齢者大腸がん症例における最適な周術期リスク評価法の検討

演者 吉村 哲規(都立大塚病院・外科)
共同演者 本山 一夫(都立大塚病院・外科), 松山 貴俊(都立大塚病院・外科), 岡村 孝(都立大塚病院・外科)
抄録 【目的】高齢者の大腸がん症例が増加する傾向にあり,高齢化に伴い併存する全身疾患,既往症も増えている.手術,麻酔に関する合併症発生時に危険な状態へ移行しやすいと思われ,術前,術直後からの周術期リスクの予想・管理が重要である.これまで周術期リスクの評価法には多くのものが報告されている.代表的なものとしては,イギリスから提唱されたPOSSUM,日本から提唱されたE-PASS,イタリアから提唱されたDonati,アメリカの退役軍人対象のリスク評価法のVAなどが報告されているが,いずれも幅広い分野の多くの手術を対象とした評価法であり,どの評価法が特に高齢者の大腸がん手術のリスク評価に最適かは明らかではない.今回当院での高齢者大腸がん症例を対象に最適なリスク評価法を検討した.【方法】2006年から最近まで,当院における大腸がんの手術症例のうち,80歳以上の高齢者約90例を対象とした.POSSUM,E-PASS,Donati,VAといった評価法は,術前・術中の全身状態や手術に関する情報からリスクがスコア化される.これら情報をカルテから抽出しデータベース化し,各評価法におけるリスク予想スコアと,実際の合併症発生率,術後在院日数などを比較し,どの評価法が実臨床と整合性があるかを検討した.【結果】評価法の中では,VAは情報の項目数が多くデータの欠損率が高くなり,Donatiは逆に情報の項目数は少ないが結果に差が表れにくいことがわかった.E-PASSでは,手術の侵襲を含めたスコアにおいて合併症発生や在院日数との関連性が示唆された.【考察】周術期のリスク評価には,E-PASSに代表されるように項目数は多くなくても,普遍的に網羅された全身状態の客観的な評価が有用と考えられた.
索引用語 高齢者, 大腸がん