セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-周術期管理

タイトル 外P-369:

左側大腸癌イレウスに対する経肛門イレウス管を用いた腸管減圧の有用性

演者 岡田 晋一郎(横須賀市立うわまち病院・外科)
共同演者 奥村 賢治(横須賀市立うわまち病院・外科), 片桐 秀樹(横須賀市立うわまち病院・外科), 水田 憲利(横須賀市立うわまち病院・外科), 森川 瑛一郎(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 妹尾 孝浩(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 湯山 晋(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 高邑 知生(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 飯田 真岐(横須賀市立うわまち病院・病理科), 辻村 志朗(横須賀市立うわまち病院・病理科)
抄録 左側大腸癌イレウスは腸管の緊急減圧処置または緊急手術が必要となるが,イレウス解除と癌の根治という2つの相反する問題をもつ.近年このOncologic emergencyな病態に対して経肛門イレウス管留置により腸管を減圧し,一期的切除を目指す治療法がよく選択される.2008年1月から2012年11月までの4年間に当院で手術を施行した左側大腸癌症例を対象に,大腸癌イレウス発生率,経肛門イレウス管留置成功率,待機手術率,切除率,一期的吻合の可否について検討した.閉塞症状を有した左側大腸癌は33例あり,16例に経肛門イレウス管挿入を試みた.14例に挿入できたが,うち1例は腸管減圧効果が認められず翌日緊急に人工肛門造設術を行ったので13例が待機的手術を施行した.経肛門イレウス管挿入に不成功だった理由は1例が穿孔,1例が狭窄のため挿入不可能で2例とも当日に緊急手術を施行した.また,経肛門イレウス管を挿入しなかった17例のうち1例は経鼻イレウス管を挿入し待機的手術を施行した.イレウス管を挿入しなかったあるいはし得なかった19例のうち9例に対して緊急に人工肛門造設術を施行し,1例は緊急に根治切除術を行い,9例は絶飲食食のみの対応で準緊急的に待機手術を行った.人工肛門造設を行った10例中6例は高度進行癌,切除不能癌などの理由で2期目の手術は行われていない.イレウス管留置成功率は87.5%(14/16),待機手術率は69.7%(23/33),切除率は81.8%(27/33),一期的吻合の可否の比率は72.7%(24/33)だった.経肛門イレウス管による腸管減圧によって待機的手術,一期的手術,ひいては腹腔鏡手術が可能になる一方で,経肛門的イレウス管留置時の腸管穿孔,留置中の大腸粘膜の潰瘍形成などの合併症,留置期間中に十分な経口摂取が保持できないという周術期の欠点もあり,その特性や管理法について十分に理解して使用することが必要であると考えた.
索引用語 経肛門イレウス管, 大腸癌イレウス