セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-手術治療 1

タイトル 外P-371:

胃癌に対する腹腔内三部位洗浄細胞診と予後に関する検討

演者 石川 卓(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
共同演者 小杉 伸一(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 坂本 薫(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 臼井 賢司(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 加納 陽介(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 若井 淳宏(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 矢島 和人(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 鈴木 力(新潟大・保健学科), 若井 俊文(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
抄録 【背景】当科では1987年より前向き研究として胃癌開腹手術時に腹腔内洗浄細胞診(CY)をDouglas窩,左横隔膜下,肝下面の三部位より行ってきた.三部位細胞診の有用性と,CY陽性胃癌の予後について検討する.
【対象・方法】対象は1987年から2007年の間,胃癌手術時にCYを行った989名中,CY陽性であった110名(陽性率11%).CYは開腹後直ちに行い,ClassVが一部位あればCY陽性と診断した.CY陽性部位数を含め,臨床病理学的因子が予後に与える影響について検討した.
【結果】腫瘍の深達度はSI/SE/SS/MP/SM 35/66/5/2/2であった.リンパ節転移を100名(91%),腹膜播種を60名(55%)で認めた.三部位細胞診の陽性部位数の内訳は三部位陽性73名(66%),二部位陽性16名(15%),一部位陽性21名(19%)であった.Douglas窩以外でCY陽性となった患者は17名(15%)であり,8名が左横隔膜下のみ,4名が肝下面のみでCY陽性と診断された.全110名の生存期間中央値(MST)は9か月であった.単変量解析では肉眼型4型,CY陽性部位数が三部位,胃切除術なし,他臓器合併切除なし,D2郭清なし,リンパ節転移陽性,腹膜播種陽性,リンパ管侵襲陽性,肉眼的癌遺残あり(R2)の患者で有意に予後不良であった.多変量解析では肉眼型4型(P=0.045,HR 1.672),R2(P=0.035,HR 2.033)のみ有意に予後不良で,2年生存率は6.0%,7.9%であった.肉眼型が4型以外の場合は,R1のMSTは17か月であり,R2の8か月に比べて良好であった(P<0.001).一方4型胃癌の場合,R1のMSTは11か月,R2は7ケ月であり,R1手術であっても予後は不良であった(P=0.141).
【結語】CY陽性患者の19%は一部位のみの陽性であり,三部位でCYを行うことは検出率向上に有用と考える.CY陽性患者でも手術でR1を得ることができれば予後の改善が期待できるが,4型胃癌では切除の意義は少ないと思われた.
索引用語 胃癌, 腹腔内洗浄細胞診