セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-手術治療 1

タイトル 外P-374:

当院胃癌手術における大網網嚢切除症例の検討

演者 藍澤 喜久雄(長野松代総合病院・外科)
共同演者 大場 崇旦(長野松代総合病院・外科), 関野 康(長野松代総合病院・外科), 中田 岳成(長野松代総合病院・外科), 松下 明正(長野松代総合病院・外科), 熊木 俊成(長野松代総合病院・外科)
抄録 【目的】胃癌治療ガイドライン(2010年)では胃癌手術においてT3以深の腫瘍に対しては通常大網は切除されるが,網嚢切除は血管や膵の損傷をきたすこともあることから,少なくともT2までの胃癌では省略することが望ましいとされている.今回,大網網嚢切除の意義を検討する目的で,当院胃癌手術例における大網網嚢切除症例(A群)と非切除症例(B群)の臨床病理学的特徴,治療成績を比較検討した.【方法】1999年から2012年までの間の切除胃癌409例を検討対象とした.大網網嚢切除は,演者が当院赴任後から行うようになったが,原則として術前あるいは術中にT3以深の局所進行胃癌と判定されるものに対して行った.【成績】全症例409例中,A群は85例(20.8%),B群は324例(79.2%)であった.切除術式は胃全摘術がA群38例(44.7%),B群80例(24.7%),D2郭清はA群66例(77.7%),B群69例(21.3%)とA群で胃全摘術,D2郭清が多かった.D2郭清例における郭清リンパ節個数はA群44個,B群37.3個とA群で多かった.各臨床病理学的因子をみると,pT因子はpT1がA群19例(22.3%),B群193例(59.5%)とB群で多く,pT2,pT3は両群に差はなかったが,pT4はA群34例(40%),B群53例(16.4%)とA群で多かった.pN因子はpN0がA群38例(44.7%),B群214例(66.1%)とB群で多く,pN1,pN2は両群で差はなかったが,pN3はA群23例(27.1%),B群45例(13.9%)とA群で多かった.pStageはA群でIAが少なく,IIB,IIIB,IIICがB群に比べ多かった.生存率の解析では,pT2以深の進行癌における5年生存率はA群が57.8%,B群が51.7%とA群でやや高かった.両群間に有意差が認められた因子はpT4,pStage IIIC,3・4型癌,未分化型癌で,これらの症例においてA群はB群に比べ有意に生存率が高かった.【結論】大網網嚢切除により郭清リンパ節個数が増え,郭清精度の向上につながると考えられる.大網網嚢切除はT4例,3・4型癌,未分化型癌がよい適応とされ,その有用性が示唆される.
索引用語 胃癌手術, 大網網嚢切除