セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-手術治療 1

タイトル 外P-376:

胃癌肝転移に対する肝切除例の検討

演者 谷澤 豊(静岡がんセンター・胃外科)
共同演者 坂東 悦郎(静岡がんセンター・胃外科), 徳永 正則(静岡がんセンター・胃外科), 川村 泰一(静岡がんセンター・胃外科), 上坂 克彦(静岡がんセンター・消化器外科), 金本 秀行(静岡がんセンター・消化器外科), 水野 隆史(静岡がんセンター・消化器外科), 杉浦 禎一(静岡がんセンター・消化器外科), 岡村 行泰(静岡がんセンター・消化器外科), 絹笠 祐介(静岡がんセンター・消化器外科), 寺島 雅典(静岡がんセンター・胃外科)
抄録 【目的】胃癌肝転移症例に対する肝切除の有用性は確立されていいない.当院では胃癌肝転移症例に対し,同時性・異時性を問わず,原則,肝転移が1個の場合,肝切除を試みてきた.今回,胃癌肝転移に対する肝切除の意義に関して検討する目的で,胃癌肝転移切除例の治療成績について後向きに解析した.【対象と方法】2002年-2011年までに,根治を目的に,原発巣・肝転移巣のいずれも当院にて切除された20例を対象とした.これらの症例において後ろ向きに解析し,肝切除後の生存期間に及ぼす因子に関して検討を加えた.肝切除後の平均観察期間は34ヶ月であった.【結果】平均年齢68.4歳で,男女比は18:2.同時性肝転移が10例,異時性肝転移が10例で,肝転移個数は,1個が16例,2個が4例.原発巣の深達度は,SM:2例,MP:3例,SS:13例,SE:/SI1例ずつ.リンパ節転移はN0:4例,N1:10例,N2:4例,N3:2例.組織型は分化型15例,未分化型5例.肝切除後補助化学療法施行(Adj)は7例に施行されていた.全生存期間の中央値(MST)は49ヶ月.無再燃生存期間(RFS)の中央値は17ヶ月.同時性vs 異時性,肝転移個数(1個 vs 2個),深達度(≦MP vs ≧SS),リンパ節転移(N0-1 vs N2-3),Adjの有無の生存期間を比較したが,いずれも有意な差は認めなかった.肝切除後6ヶ月以内に再発した症例が5例あり,いずれも残肝再発であった.また,3年以上生存例は7例あり,その内無再燃症例は3例で,再肝切除により長期生存している症例も1例あった.【結語】肝転移切除例には長期生存例も存在し,生存期間の延長に寄与する可能性がある.しかし,早期に再燃する症例も少なくない.肝切除に際しては慎重に手術適応を判断する必要がある.また,再燃後の治療により長期生存が得られることもあるため,肝切除を含めた集学的治療 が必要と考える.
索引用語 胃癌, 転移性肝腫瘍