共同演者 |
湖山 信篤(坪井病院・外科), 川本 聖郎(坪井病院・外科), 岩井 拓磨(坪井病院・外科), 萩原 信敏(日本医大・外科), 櫻澤 信行(日本医大・外科), 藤田 逸郎(日本医大・外科), 金澤 義一(日本医大・外科), 小野寺 浩之(日本医大・外科), 加藤 俊二(日本医大・外科), 宮下 正夫(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科) |
抄録 |
胃切除の再建は切除範囲と同時に評価するべき.上部胃癌は今後, 早期癌を中心に増加が予想され, 噴門側胃切除も十分に考慮すべき.2001以降上部限局胃癌(GC-U)に対して施行してきた迷走神経温存胃漿膜筋層縦切開噴門形成術(NP-EGP)の1)根治性,予後 2)栄養学的評価,3)術後障害, 4)残胃癌の対処5)問題点と今後の課題について示す.【GC-Uの特徴】1984-2009までのSM以深の胃切除1618例を解析. 小彎偏在が多く(80%,MLは60%)と多いため, No.4d,5,6の郭清効果はNo.11p,d,10より低く,ないか,限定的.( 文献1(笹子他.手術52:737-743,1998)でも同様の傾向) GC-UでNo.4d,5,6に転移のあった4例は全てNo.16,腹膜など他に非根治因子があり, 2年以内に原病死.なお, No.4d転移が最も多い(28%)UM,MU病変と識別することが重要. 【当院での噴切の状況】cMPN0まで対象に31例に施行.(文献2:手術61:13,1861-1868 2007).再発はfStageIIIBのNo.16,腹膜と肝転移の2例で噴切特有の再発なし.【栄養学的評価】同時期の胃全摘(StageIA-B, D1+β郭清)症例とTP, alb, 術前体重からの変化を比較.術後4年まで噴切89-91%, 全摘87-88%.噴切で体重減少抑制傾向(有意差なし).【術後障害】2012までに施行の31例は鉄剤やVitB12を要せず,PPI投与は4例のみ. 術後6年以上経過した2006の胃全摘32例中,再発,他病死なく追跡された15例中3例に低蛋白血症を伴うHb8以下の貧血発生. 鉄剤, VitB12の投与で改善.【残胃癌の対処】文献3(上西他.胃と腸1049-1057,2004)と同様, 残胃癌5症例,7病変は全て分化型でESDにてEA.残胃観察,ESDの操作性に問題なし.【まとめ/課題】 1)NP-EGPは長期的にも妥当な術式.2)胃全摘の術後障害は無視出来ず,予後改善に伴い, 進行癌でも低いStageから噴切を考慮するに価する.3)上部(U)に限局という,病変の局在診断が重要.4)今後, 腹腔鏡手術の普及などから同様のqualityで再建するために創意工夫が必要. |