セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-手術治療 2

タイトル 外P-382:

幽門保存胃切除術の治療成績

演者 松木 淳(県立がんセンター新潟病院・外科)
共同演者 梨本 篤(県立がんセンター新潟病院・外科), 藪崎 裕(県立がんセンター新潟病院・外科), 會澤 雅樹(県立がんセンター新潟病院・外科), 丸山 聡(県立がんセンター新潟病院・外科), 野村 達也(県立がんセンター新潟病院・外科), 中川 悟(県立がんセンター新潟病院・外科), 瀧井 康公(県立がんセンター新潟病院・外科), 土屋 嘉明(県立がんセンター新潟病院・外科)
抄録 【背景・目的】機能温存・縮小手術に分類される幽門保存胃切除術(PPG)は,食物を貯留して少しずつ排出することを目的とし,現在多くの施設で行われている.PPGの術式と短期及び長期成績を検討した.【対象・術式】当科にて1993年より2009年12月末までにPPGを施行した433例,男性258例,女性175例,年齢中央値60(24-88)歳.術前診断でM領域の早期胃癌,cN0を手術適応とし,腫瘍の局在により幽門からの切離距離を決定,中央値3(1.5-10)cmで5cm以上温存は90例(20.8%).右胃動脈は100%,幽門下動脈は97.2%,迷走神経肝枝・幽門洞枝は99.8%,腹腔枝は33.6%で温存.【結果】病理診断では30例が進行癌で早期癌の正診率は93.1%,リンパ節転移は16例(3.7%)に認められた.術後の有症状率は,術後2年では29.6%(逆流症状15.3%,腹部膨満感8.6% ,便通異常4.4%)であったが,いずれも経過とともに減少し,術後5年では11.4%(逆流症状8.2%,腹部膨満感1.4% ,便通異常1.1%)であった.術後5年以降に内視鏡検査が施行された253例における所見は,食物残渣18.6%,逆流性食道炎10.7%,残胃炎11.0% ,残胃・十二指腸潰瘍1.7%であった.胆石症は16例(3.7%)に認められた.体重は術後1年目に93.9%まで回復し,その後10年目まで約93%を維持しており,幽門からの切離距離(5cm以上と未満)で差は認めなかった.遠隔成績では,進行癌であった3例に原病死が認められ,再発形式は,残胃再発1例,リンパ節再発2例であった.他病死は14例で,5年生存率は96.9%,10年生存率は95.4%であった.残胃の癌は23例(5.3%)に認められ(介在期間中央値38(6-199)カ月),19例に胃切除術,4例に内視鏡的治療を施行,1例の他病死を除き22例は無再発生存中である.【結語】長期成績は良好であったが,再発,原病死が少数例ながら認められた.術前術中の診断精度を向上させ,適応を厳重にすることが肝要である.
索引用語 幽門保存胃切除術, 治療成績