共同演者 |
平松 良浩(浜松医大・2外科), 尾崎 裕介(浜松医大・2外科), 高橋 善明(浜松医大・2外科), 飯野 一郎太(浜松医大・2外科), 藤田 剛(浜松医大・2外科), 菊池 寛利(浜松医大・2外科), 太田 学(浜松医大・2外科), 神谷 欣志(浜松医大・2外科), 坂口 孝宣(浜松医大・2外科), 今野 弘之(浜松医大・2外科) |
抄録 |
【緒言】CT画像の精度向上および診断技術の進歩に伴い,より詳細な術前画像が得られるようになっている.さらに,胃癌に対する腹腔鏡下手術の普及に伴い,術前診断の重要性がより増している.われわれは胃癌術前にMDCTからCTangiography(以下,CTA)を作成し血管解剖の正確な把握に努めてきた(2013,GastricCancer).さらに2010年4月から,より詳細な情報が必要な症例において,SYNAPSE VINCENTでCTgastrography(以下,CTG)を含めた3D-fusion画像を作成し手術の一助にしている.今回,3D-fusion画像が腹腔鏡下胃切除術前シミュレーションに有用であった2症例を報告する.【症例1】M-Gre,0-IIc型早期胃癌.胃透視では病変描出が不良であり,内視鏡では病変部位がやや高いため,病変部位の正確な把握が必要であった.内視鏡時に病変口側にクリップを行い,CTを撮影しCTGとCTAの3D-fusion画像を作成した.クリップが左胃大網動静脈最終前枝の高さに存在することを確認し,胃切離予定線を決定したうえで,十分な断端を確保して腹腔鏡下幽門側胃切除術を完遂した.【症例2】U-Post,0-IIc型早期胃癌.内視鏡下クリップ後にCTを撮影し3D-fusion画像を作成した.画像上,病変が短胃動静脈最終枝付近の高さに存在するため幽門側胃切除は不可能だが,十分な遠位側残胃容量が確保可能で胃全摘を要しないと判断し,腹腔鏡下噴門側胃切除術を施行した.【考察】胃切離線決定の補助手段には点墨や術中内視鏡,術中透視があるが,点墨は術中の病変範囲の把握が正確でないこともあり,術中内視鏡,透視は手技が煩雑である.胃癌術前のCTAとCTGの3D-fusion画像は,実際に病変触知が不可能な早期胃癌の腹腔鏡手術時における胃切離線決定ならびに術式決定においても有用であると考えられる. |