セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-鏡視下手術 2

タイトル 外P-390:

腹腔鏡補助下胃全摘術後オーバーラップ法による器械縫合の工夫

演者 木山 輝郎(日本医大・外科)
共同演者 藤田 逸雄(日本医大・外科), 小野寺 浩之(日本医大・外科), 金沢 義一(日本医大・外科), 加藤 俊二(日本医大・外科), 菅野 仁士(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 腹腔鏡補助下胃全摘ではマージンを取り,D1+/D2(-10) リンパ節郭清が可能である.再建方法は自動吻合器を用いて食道空腸吻合(n=50)を行ってきたが,幽門側胃切除と同じ手法である自動縫合器を用いるオーバーラップ法(n=10)を導入した.今回,共通孔の閉鎖を自動縫合器で閉鎖する工夫とピットフォールについて報告する.適応は胃の上部に限局した胃癌T1/2N0症例である.リンパ節郭清および食道切離まで腹腔鏡下に行う.3cmの臍縦切開から胃を摘出する.体外でTreitz靱帯より20cmで空腸を切離し,10cmの犠牲腸管をとり腸間膜の切離を行わない.Y脚を断端より60cmで端側吻合する.挙上空腸の先端から5cmに小孔を開け,空腸を腹腔内に戻す.食道断端の左側を7mm切除し挿入孔とする.自動縫合器EC45を挿入,空腸にアンビルジョー(可動性)を挿入する.食道にステイプルジョー(非可動性)を挿入し,食道空腸を側々吻合する.胃管を食道から空腸に誘導する.共通孔は閉鎖する縫合線が三角形の底辺になるように3点で仮縫合し拳上する.このとき,3-0エチボンドを20cmにし,体外でNoose Knot(輪投げ結び)を形成しておく.針糸で組織を刺通したあとはこの輪を用いてSlip Knotとして結紮を行わなくてよい.自動縫合器EC60を右下ポートから腹腔内に挿入後,先端を屈曲させる.縫合糸で拳上した共通孔を閉鎖するときに,小腸を頭側に拳上して吻合部に緊張をかけない.結語:オーバーラップ法は幽門側胃切除で手技に精通しており,導入が容易であった.また,Noose knotを用いることにより体腔内縫合が不必要であり,時間短縮が可能である.現在,症例数は少ないが術者だけでなく助手の手技が簡便なことから,標準的再建法の一つとなることが期待される.
索引用語 腹腔鏡下胃切除, 器械吻合