セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 1

タイトル 外P-405:

右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後の胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した2例

演者 川村 秀樹(札幌厚生病院・外科)
共同演者 谷岡 利朗(札幌厚生病院・外科), 田原 宗徳(札幌厚生病院・外科), 渡会 博志(札幌厚生病院・外科), 久慈 麻里子(札幌厚生病院・外科), 秦 庸壮(札幌厚生病院・外科), 山上 英樹(札幌厚生病院・外科), 益子 博幸(札幌厚生病院・外科), 石津 寛之(札幌厚生病院・外科), 高橋 昌宏(札幌厚生病院・外科)
抄録 【はじめに】虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術(CABG)には右胃大網動脈(RGEA)がしばしば用いられるが,その後に胃癌を発症し手術が必要になる場合には問題となる.RGEAでCABGを行った後に胃癌を発症した2例に対してRGEAを温存した腹腔鏡下幽門側胃切除(LDG)を施行した.【症例】症例1. 73歳.男性.2004年に4枝CABGを施行された.2011年,前庭部前壁に胃癌がみつかりESD施行するも断端陽性で当科紹介となった.へそ下部にカメラポート,左右季肋下に5mmポート,左右側腹部に12mmポートを挿入した.開腹手術と異なり,開腹操作やつり上げ開創鉤によるRGEAの損傷を考慮することなく,良好な視野で手術遂行が可能であった.上腹部には腹壁と大網の癒着があり,剥離すると鎌状間膜に隣接し腹壁に沿って上行し走行する発達したRGEAが確認された.RGEAを温存してNo6郭清を施行した.RGEAのskeletonizationは超音波凝固切開装置を用いて容易に可能であった.術中不整脈の出現は見られなかった.他の部位のリンパ節郭清に関しては通常のLADGと同様に施行可能であった.再建はRGEAの走行に影響を受けないR-Yを選択した.術中spasm予防にnicorandilの持続静注を行った.手術時間180分,出血量11ml.術中術後合併症なく術後10日目に退院した.症例2.69歳.男性.2006年に4枝CABGを施行された.2012年,前庭部小弯の進行胃癌がみつかり当科紹介となった.症例1と同様にポートセッティングを行い,RGEAを温存してNo6郭清を施行しR-Y再建をおこなった.術中不整脈の出現は見られなかった.胆石症を合併しており胆摘も施行した.手術時間295分,出血量61ml.術中術後合併症なく術後10日目に退院した.【結語】RGEAを用いたCABG後の胃癌に対するLDGは開腹手術と比較して開腹操作やつり上げ開創器による損傷のリスクがなく,良好な視野のもとで手術が可能であった.
索引用語 腹腔鏡下胃切除, 冠動脈バイパス術