抄録 |
【目的】幽門側胃切除後に非生理的再建法で再建された症例に対して,再手術が必要となり非生理的から生理的再建である逆J型パウチ間置術に変更しQOLの低下を回避もしくは改善し得た3症例を経験したので報告する.【症例】1例目の症例は,22歳時に十二指腸潰瘍で胃切除,BillrothII法再建を施行された42歳男性.術後1年目より19年間食欲不振,食後上腹部痛,下痢,低血糖などの胃切除後症候群および出血性吻合部潰瘍の加療に難渋し,栄養摂取は流動食が主体で著明な羸痩を認めたため,残胃部分切除,パウチ間置再建術を施行した.術後2年経過し,経口摂取良好で栄養状態の改善を認めている.2例目の症例は69歳時に胃体部のSM癌に対して幽門側胃切除術,リンパ節郭清(D2)Roux-en-Y再建を施行された70歳男性.病理検査で切除断端陽性となり,残胃全摘,リンパ節郭清,パウチ間置再建術を施行した.術後2年経過し,初回手術後の食後腹痛の軽減を認めている.3例目の症例は35歳時に十二指腸潰瘍で胃切除,BillrothII法再建を施行された77歳男性.きのこによる中毒によると思われる腹痛,嘔吐を主訴に受診し上部消化管内視鏡検査で吻合部に残胃癌を認めた.残胃全摘,リンパ節郭清,パウチ間置再建術を施行した.術後は食事中のつかえ感の消失を認めている.【結論】胃切除後に十二指腸が盲端となる非生理的再建法を施行された症例に対して,初回手術からの経過期間が長くても短くても生理的な再建法であるパウチ間置術へ変更しPancreaticocibal asynchronyを回避することは可能であった.胃切除後の再胃切除の再建には,術後QOLを向上し得る再建法であるパウチ間置術も有用な再建法の1つとして選択肢にいれるべきであることを強調したい. |