セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 2

タイトル 外P-413:

3回の肝切除により生存を得ているalpha-fetoprotein (AFP) 産生胃癌の一例

演者 小林 克巳(前橋赤十字病院・外科)
共同演者 富沢 直樹(前橋赤十字病院・外科), 荒川 和久(前橋赤十字病院・外科), 清水 尚(国立高崎総合医療センター・外科), 室谷 研(前橋赤十字病院・外科), 黒崎 亮(前橋赤十字病院・外科), 佐藤 弘晃(前橋赤十字病院・外科), 須藤 雄仁(前橋赤十字病院・外科), 加藤 隆二(前橋赤十字病院・外科), 白石 卓也(前橋赤十字病院・外科), 安東 立正(前橋赤十字病院・外科), 須納瀬 豊(群馬大大学院・臓器病態外科学), 竹吉 泉(群馬大大学院・臓器病態外科学)
抄録 症例は78歳の男性で,体重減少と貧血で近医にて上部消化管内視鏡検査を行った所,胃癌を指摘され,紹介となった. EUSで深達度診断したところsm以深と診断.腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.病理診断はM, 0-IIa, pT1b2(sm2), ly2, v1, pN0pM0 StageIA,免疫染色でAFP陽性を示し,AFP産生胃癌と診断された.術前AFPは基準値以下であったが,術後5ヶ月時に1472 ng/mlと上昇あり.画像上肝S1, S4, S6, S8に転移を疑う所見を認め,肝生検したところ,肝転移の診断をえた.術後6ヶ月時に肝S1, S4, S8 部分切除及びS6亜区域切除を施行した.切除断端陰性で,術後AFP値は低下した.TS-1内服による補助化学療法を開始したが,初回術後1年3ヶ月時のCTで肝外側区転移を疑う結節認めた.このときAFPは10 ng/mlと基準値未満だったが,翌月25 ng/mlと軽度上昇し,MRIで肝精査したところ転移の診断となった,初回術後1年5ヶ月時に肝S2部分切除を行った.断端陰性にて切除しえた.以降AFP値は再び基準値未満に低下したが,初回術後2年4ヶ月時にAFP値が125 ng/mlと再上昇した.画像上肝外側区に新たな転移を認め,同月肝外側区切除術を施行した.断端は陰性で切除しえた.初回術後2年6ヶ月の現在までAFP値は基準値未満で,画像上再発転移を認めていない.AFP 産生胃癌は高頻度に肝転移来し,予後不良とされる.また,胃癌の肝転移は同時多発する傾向から肝切除術が適応となる例は少なく,その切除成績は一般に不良とされるが,切除により長期生存が得られた報告もある.一方で肝転移巣切除後残肝再発に対する再手術の報告はきわめて少ない.今回我々はAFP 産生胃癌の胃切除術後に異時性に多発肝転移を来し,積極的な肝切除術で生存を得ている症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する
索引用語 AFP産生胃癌, 肝転移