セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 2

タイトル 外P-414:

術前診断可能であった腹腔鏡下幽門側胃切除術後肝鎌状間膜内ヘルニアの1例

演者 奥村 公一(大阪赤十字病院・外科)
共同演者 細木 久裕(大阪赤十字病院・外科), 山浦 忠能(大阪赤十字病院・外科), 吉村 文博(大阪赤十字病院・外科), 金谷 誠一郎(大阪赤十字病院・外科)
抄録 【はじめに】腹腔鏡下胃切除術(laparoscopic gastrectomy; 以下LG)Roux-en-Y再建後の内ヘルニアには空腸間膜やPetersen's defectなどが報告で知られているが,Billroth-I法再建後には間膜内間隙は理論上生じず,内ヘルニアの報告はない.今回我々は,腹腔鏡下幽門側胃切除術(laparoscopic distal gastrectomy; 以下LDG)後に,医原性に作られた肝鎌状間膜内ヘルニアの1例を経験したのでビデオを供覧し報告する.【症例】手術既往のない60代男性.活動性胃潰瘍治癒後の生検にて胃体中部小彎に早期胃癌(por)の診断でLDG (D1+郭清,Billroth-I法再建)施行した.ペンローズドレーンを用いた肝外側区の挙上目的に左三角間膜に小孔をあける際,鉗子の可動域制限がかかったため,鎌状間膜に直径1cm程度の挿入口を設けた.鎌状間膜の閉鎖は行わなかった.【術後経過】術後2日目に吻合部出血によるヘモグロビン低下を認めたが自然止血した.術後14日目イレウス症状出現し,CTにて肝鎌状間膜内の小孔に小腸が陥入した内ヘルニアと診断した.絞扼の所見なく,腹腔鏡下に再手術を施行した.術前診断の通り,前回手術で作られた肝鎌状間膜の間隙へ小腸が10cm陥入しており,ヘルニア解除後,同欠損部を縫縮し閉鎖した.【考察】LG術後の内ヘルニアの発生頻度は0.2~4.8%であり,その内,空腸間膜が41.4%,Petersen's defectが26.3%という報告がある.一方,肝鎌状間膜内ヘルニアはLG術後では報告がない.我々は,空腸間膜の間隙や,Petersen's defectは全例閉鎖する方針としているが,本症例の鎌状間膜欠損部は内ヘルニアの発生を懸念せず閉鎖を行わなかった.術後の吻合部出血に伴う一時的な腸管の拡張も今回の内ヘルニア発生に影響したと考えられた.今後は必要以上に肝鎌状間膜に小孔を作らないように配慮し,同部位にできた小孔は閉鎖するか肝円索を切離開放することが必要と考えられた.【結語】LDG術後に肝鎌状間膜内ヘルニアの1例を経験した.LG術後に起こりえる稀な合併症としての認識が必要と考えられた.
索引用語 Billroth-I法, 肝鎌状間膜内ヘルニア