セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 2

タイトル 外P-416:

胃切除における左副肝動脈切離の術後肝機能への影響

演者 迫 裕之(佐野厚生総合病院・外科)
共同演者 池田 篤(佐野厚生総合病院・外科), 栗原 俊明(佐野厚生総合病院・外科), 田中 俊道(佐野厚生総合病院・外科), 和田 真弘(佐野厚生総合病院・外科), 池田 謙(佐野厚生総合病院・外科), 奥澤 星二郎(佐野厚生総合病院・外科)
抄録 左(副)肝動脈が左胃動脈から分岐する解剖学的変異は,比較的経験する変異である.肝臓は動脈と門脈による血流の二重支配を受けており,虚血には強い臓器とされるが,左(副)肝動脈が存在する場合の左胃動脈の根部切離の是非については定まっていない.今回,左肝動脈が左胃動脈から分岐している胃癌症例に対する根治的胃切除術の際,左胃動脈を根部で切離した症例の,術後の肝機能について報告する.[症例]80歳代,男性で,集団検診の胃透視にて異常を指摘されて受診した.上部消化管内視鏡検査では,噴門直下後壁に0-I型病変を認め,生検ではpap-tub1-tub2であった.全身のCT検査では明らかな転移は認めなかったが,左肝動脈は左胃動脈から分岐しており,固有肝動脈からの左肝動脈は欠損していた.また,左肝動脈は左胃動脈の比較的末梢で分岐しており,左肝動脈を温存すると,郭清が不十分になることが危惧された.腹腔鏡補助下噴門側胃切除術を施行し,左胃動脈は根部で切離してD1+郭清を行った.肝機能は術後2日目にGOT/GPT 1703 /1199(U/l)と最高値を示し,T-Bilは術後3日目に2.12(mg/dl)と最高値を示した.肝機能障害に対しては保存的に肝庇護剤の投与のみ行ったが,術後9日目にはT-Bilは正常化し,術後12日目にはGOT/GPT 43/110まで低下し,術後16日目にその他の合併症なく退院した.術後2ヶ月ではGOT/GPT 68/47まで低下し,造影CTでは動脈相でも肝両葉は均一に造影され,左葉へは右肝動脈から側副血行路が発達していた.[考察]左胃動脈から左肝動脈が分岐する症例では,左肝動脈ごと左胃動脈を切離すれば一過性の肝機能障害を引き起こすが,術後長期的に肝機能に影響を及ぼすことはないのではないかと考えられた.しかし,本症例は術前の肝機能は正常であり,もともと肝機能が低下している症例では,慎重になる必要はあると思われる.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 左副肝動脈, 術後肝機能