セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 3

タイトル 外P-418:

粘膜下腫瘍様の発育形態を示したAFP産生胃癌の1例

演者 奥村 哲(ベルランド総合病院・外科)
共同演者 堀井 勝彦(ベルランド総合病院・外科), 徳田 彩(ベルランド総合病院・外科), 豊田 翔(ベルランド総合病院・外科), 山本 昌明(ベルランド総合病院・外科), 水村 直人(ベルランド総合病院・外科), 今川 敦夫(ベルランド総合病院・外科), 園尾 広志(ベルランド総合病院・外科), 山崎 圭一(ベルランド総合病院・外科), 小川 雅生(ベルランド総合病院・外科), 出村 公一(ベルランド総合病院・外科), 大場 一輝(ベルランド総合病院・外科), 川崎 誠康(ベルランド総合病院・外科), 亀山 雅男(ベルランド総合病院・外科), 米田 玄一郎(ベルランド総合病院・病理診断科), 吉村 道子(ベルランド総合病院・病理診断科)
抄録 症例は70歳代の男性.既往に大動脈弁置換術がある.主訴は歩行困難.Hb5.7mg/dlと貧血を認めたため上部消化管内視鏡検査を施行すると,体中部から前庭部にかけて正常粘膜で覆われた所々自壊した潰瘍を伴った粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.抗凝固療法中であり生検は施行しなかった.腹部エコー検査では心窩部に径8cm大の境界明瞭な混合エコー腫瘤像を認めた.腫瘤は胃壁外性に発育し内部には結節陰影や索状構造がみられ,周囲から流入する血流信号も認めた.CT検査では胃角部から胃前庭部にかけて径8cm大の腫瘤像を認め,リンパ節腫大や遠隔転移はみられなかった.EOB-MRI検査では腫瘤はT2強調像で筋よりやや高信号,T1強調像では筋と等信号を示しわずかに造影効果を認めた.拡散強調像では高信号を示した.腫瘤の中心部にはT2強調像で低信号,T1強調像で一部高信号を呈する部分があり出血性壊死と考えられた.術前腫瘍マーカーはCEA 77.3 ng/ml,AFP 1018 ng/ml,AFP-L3分画 34.3%,PIVKA-II 8790 mAU/mlと上昇していた.AFP産生胃癌ならびにGISTを疑い手術を施行した.開腹すると胃角部小弯側の將膜面は白色化しその直下に手拳大の腫瘤を触知した.周囲臓器への浸潤はなく幽門側胃切除術,D2郭清を施行した.M Less 5型 9×8cm T4aN0M0P0H0 StageIIb.切除標本では腫瘤は粘膜下に増殖し粘膜面には打ち抜かれた様な潰瘍が3か所みられた.その間には正常粘膜が介在していた.病理組織像では融合腺管構造や充実増殖を示す中分化~低分化型腺癌を認め,充実性増殖部分には高分化型肝細胞癌に類似した肝様腺癌像を示す部分もみられた.AFP免疫染色で少数の細胞が陽性を示した.以上よりAFP産生胃癌と診断した.術後腫瘍マーカーは正常化した.特異な発育形態を示したAFP産生胃癌の1例を経験したので報告する.
索引用語 粘膜下腫瘍様胃癌, AFP産生胃癌