セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 3

タイトル 外P-421:

胃原発扁平上皮癌の1例

演者 中村 聡(埼玉県立がんセンター・消化器外科)
共同演者 山田 達也(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 塙 秀暁(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 石川 英樹(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 小倉 俊郎(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 菊地 功(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 野田 和雅(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 横山 康行(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 岡 大詞(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 江原 一尚(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 福田 俊(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 網倉 克己(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 西村 洋治(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 川島 吉之(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 坂本 裕彦(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 田中 洋一(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 黒住 昌史(埼玉県立がんセンター・病理診断科)
抄録 症例は,84歳,男性.心窩部痛および食思不振を主訴に前医を受診し,胃前庭部の3型腫瘍が疑われ,精査加療目的に当科に紹介された.上部消化管内視鏡で,胃角部小弯から幽門輪におよぶ3型腫瘍を認め,生検で扁平上皮癌が疑われた.血液生化学的検査所見で,CEA(6.2ng/ml),SCC (2.2ng/m),CYFRA(9.7ng/ml)が軽度上昇を認めた.胸腹部造影CTで,胃前庭部に長径40mm超の壁肥厚と,短径7mmの小弯リンパ節を認めた.明らかな遠隔転移や,他臓器の癌からの転移を疑わせる所見はなく,胃原発の扁平上皮癌あるいは腺扁平上皮癌と診断し,幽門側胃切除,D2郭清,大網切除,胆摘,Roux-en-Y吻合術を施行した.術後経過は良好で,術後第12病日に退院した.病理組織学的所見は,L, Type 2, 40x35mm, Squamous cell carcinoma, pT3(SS), int, INFb, ly0, v2, pN0, M0, P0, CY0, H0, Stage IIAであった.索状を呈する部分は低分化腺癌との鑑別が難しいが,明らかな腺管形成を呈する腫瘍胞巣を認めず,腺癌成分はないとし,中~低分化扁平上皮癌と診断した.pT3(SS),N0症例のため,術後補助化学療法は施行せず,術後4ヶ月経過した現在,再発を認めていない.胃原発扁平上皮癌は,腺扁平上皮癌症例が含まれた既存の報告で,胃癌全体の0.09%とされ,現在の定義に合致する症例はより稀と推測される.当院過去10年間の胃癌症例1820例を検討すると,扁平上皮癌は本症例のみ(0.05%)で,既存の報告に矛盾しない結果であった.今回,非常に稀な胃原発扁平上皮癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 胃原発, 胃扁平上皮癌