セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 4

タイトル 外P-423:

病理組織学的詳細検討にて漿膜下層壁内転移を認めた早期胃癌高度リンパ節転移の1例

演者 田中 亮(大阪医大・一般・消化器外科)
共同演者 李 相雄(大阪医大・一般・消化器外科), 河合 英(大阪医大・一般・消化器外科), 革島 悟史(大阪医大・一般・消化器外科), 内山 和久(大阪医大・一般・消化器外科)
抄録 検診の普及や診断能力の向上による早期胃癌発見率が増加するにつれ,胃癌全体に占める早期胃癌の割合が増えてきた.早期胃癌の治療成績は非常に良好で,粘膜内癌(pT1a)に関してはリンパ節転移頻度が3%未満と低く,外科手術例の5年生存率は99.3%とも報告されている.一方で,粘膜下組織まで達するもの(pT1b)では,リンパ節転移頻度が約20%と高くなる.今回,我々は21個ものリンパ節転移を認めた肉眼的早期胃癌の1例を経験した.詳細な追加検討により一部漿膜下層に壁内転移を認めたが,これほど高度なリンパ節転移を認めることはまれであり,注意すべき症例と考えられたため,文献的考察を加えて報告する.症例は63歳,女性.スクリーニング目的の上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大弯に8mm×8mmの0-IIa+IIc病変を認めた.生検にて低分化腺癌の診断であった.術前診断はcT1bN0M0,cStageIAであり,腹腔鏡下幽門温存胃切除ならびにD1郭清を行った.手術所見にてリンパ節の腫大硬化を認めなかったが,病理検査にて口側断端,肛門側断端は十分な距離を確保できていたものの,郭清リンパ節31個のうち18個(No.3a,4d,6,7)にリンパ節転移を認めた.追加切除が必要と判断し,後日D2郭清を伴った胃全摘術を施行した.No.4sbには転移を認めず,脾摘は行わなかった.最終病理結果はM,Ant,Type0-IIa+IIc,8×8mm,pT1b2(700μm),ly1,v1,pN3b(21/48),M0,metastasis to SSであった.原発巣から1cm以上離れた部位に1.5×1mm大の面積で漿膜下組織に癌細胞を認めた.原発巣とは連続性を認めないため壁内転移と診断した.術後経過は良好で追加切除後,第18病日に軽快退院となった.退院後,補助化学療法を行っているが,現在術後6ヶ月経過し,明らかな再発は認めていない.
索引用語 胃癌, 高度リンパ節転移