セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-症例 4

タイトル 外P-424:

リンパ節転移を伴った若年性多発胃GISTの1例

演者 小菅 敏幸(がん研有明病院・消化器外科)
共同演者 比企 直樹(がん研有明病院・消化器外科), 布部 創也(がん研有明病院・消化器外科), 大橋 学(がん研有明病院・消化器外科), 清川 貴志(がん研有明病院・消化器外科), 田中 友理(がん研有明病院・消化器外科), 入野 誠之(がん研有明病院・消化器外科), 本多 通孝(がん研有明病院・消化器外科), 千葉 丈広(がん研有明病院・消化器外科), 橋本 佳和(がん研有明病院・消化器外科), 峯 真司(がん研有明病院・消化器外科), 山田 和彦(がん研有明病院・消化器外科), 谷村 愼哉(がん研有明病院・消化器外科), 佐野 武(がん研有明病院・消化器外科), 山口 俊晴(がん研有明病院・消化器外科)
抄録 GISTのほとんどは中高年に単発性に発生し,極めて稀に多発する.一方で,GISTのリンパ節転移は稀とされ,リンパ節郭清を伴わない局所切除が行われることが多い.今回われわれは,リンパ節転移を伴った若年性多発胃GISTの1例を経験したので報告する.【症例】33歳男性.特記すべき既往歴や家族歴は認めず.検診の胃透視と腹部超音波検査で異常を指摘され当院を受診した.上部消化管内視鏡で胃前庭部から胃体部上部前壁にかけて数珠状に連なる5-6個の大きな粘膜下隆起を認め,腹部造影CTでは胃体上部から下部にかけて胃壁と連続し数珠状に発育する腫瘤を認めた.EUS上,第4層と連続する内部エコー不均一な腫瘤を多数認めGISTが疑われた.診断を確定するためボーリング生検を行った結果,KIT陽性の間葉系腫瘍と判明した.多発胃GISTの診断のもと胃癌手術に準じたD2リンパ節郭清を伴う胃全摘術を行なったところ,術中迅速組織診断にてNo.8aリンパ節の転移が判明した.病理組織学的診断の結果,KIT(+),CD34(+)の7個のGISTが存在し,No.3リンパ節にも1個の転移を認めた(リンパ節転移の合計は2個).遺伝子変異解析を行ったところ,c-kit遺伝子やPDGFRA遺伝子に変異を認めなかった.現在,術後約半年が経過するが無再発生存中である.【考察】若年GISTでは胃の多発病変をしばしば認め,リンパ節転移をきたすことも多い.その発生原因となる患者・遺伝子背景は多様であり,分子標的薬の適応を考えるうえでもその鑑別は重要である.本症例の診断,治療について若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 GIST, リンパ節転移