共同演者 |
三木 友一郎(静岡がんセンター・胃外科), 幕内 梨恵(静岡がんセンター・胃外科), 杉沢 徳彦(静岡がんセンター・胃外科), 徳永 正則(静岡がんセンター・胃外科), 谷澤 豊(静岡がんセンター・胃外科), 川村 泰一(静岡がんセンター・胃外科), 絹笠 祐介(静岡がんセンター・消化器外科), 金本 秀行(静岡がんセンター・消化器外科), 上坂 克彦(静岡がんセンター・消化器外科), 寺島 雅典(静岡がんセンター・胃外科) |
抄録 |
(背景と目的)膵癌において神経周囲浸潤と進展度・生物学的悪性度との関連の報告は多いが,胃癌における報告は少数である.今回の目的は胃癌における神経周囲浸潤と進展度との相関を十分な症例を検討することによって明らかにすることである.(対象と方法)2009.12-2013.2の胃癌手術症例中,胃切除が施行され,固有筋層(一部粘膜下層)のAuerbach神経叢周囲への癌細胞の浸潤(ne)の評価を含んだ病理組織学的診断を施行された800例を対象とした.neの評価を,ne0;神経周囲浸潤が無い,ne1;浸潤が軽度,ne2;浸潤が中等度,ne3;浸潤が高度,に分類し各臨床病理学的因子および生存転帰との相関を検討した.(結果)ne(+)症例は170例(21.3%)に認められた(ne1;115例,ne2;40例,ne3;15例).(リンパ節転移) ne0のリンパ節転移個数の平均値は2.4個でne1の9.5個,ne2の11.4個,ne3の19.5個に比して有意に少なかった(p<0.001).ne1-3には群間に有意差は無かった.(脈管浸襲) ne0のly(+)症例は275例(43.7%)でne1の100例(87.0%),ne2の34例(85.0%),ne3の13例(86.7%)に比し有意に低率であった(p<0.001).同様にne0のv(+)症例は231例(36.7%)でne1の89例(77.4%),ne2の32例(80.0%),ne3の13例(86.7%)に比し有意に低率であった(p<0.001) (短期経過観察での生存転帰) 平均観察期間18か月において,ne(+)の2年生存率は66%でne0の94%に比して有意に生存転帰は不良であった(p<0.001).pStageII/IIIにおいてne(+)(n=90)の2年生存率は83%でne0(n=211)の91%に比して有意差は無かった(p=0.129).(結語)neは臨床病理学的悪性度と有意に相関し,また生存転帰は陽性例では有意に不良であった.今後は症例を集積しstage-specificの検討で有意な予後因子となり得るか否かをprospectiveに解析する予定である. |