セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)小腸-手術治療 2 |
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タイトル | 外P-448:当院における深部小腸切除症例の検討 |
演者 | 青木 貴徳(遠軽厚生病院・外科) |
共同演者 | 高橋 裕之(遠軽厚生病院・外科), 萩原 正弘(遠軽厚生病院・外科), 橋本 道紀(遠軽厚生病院・外科), 稲葉 聡(遠軽厚生病院・外科), 大江 成博(遠軽厚生病院・外科), 矢吹 英彦(遠軽厚生病院・外科) |
抄録 | 【目的】近年小腸内視鏡の出現により深部小腸すなわち空腸・回腸病変の診断能が向上した.しかし実際の外科臨床では深部小腸の手術は主に緊急手術である.当院では小腸内視鏡購入は今後の目標であり,小腸内視鏡導入前の深部小腸手術の状況をまとめることを目的とした.【対象】2002年11月1日から20012年10月31日までの10年間で当院において手術をうけた空腸・回腸の切除を行った症例を対象とし,原因,緊急手術の有無などを後ろ向きに検討した.【結果】深部小腸の手術症例は111例.同時期の全消化管手術症例は892例で深部小腸の手術は全消化管手術の12.4%であった.深部小腸手術例の98例,88.3%では緊急手術であった.内容は種々の原因による腸管の壊死が69例,62%と最も多く,基礎疾患のない腸管穿孔が17例,15.3%であった.腫瘍性の病変は合計11例のみでこれは,同時期の全消化管の腫瘍病変に対する手術670例の1.6%にすぎなかった.詳細はGISTが5例.悪性リンパ腫2例,クローン病の3例であった.GISTのうち1例は他癌の開腹術中に偶然発見されたもの,1例は重積による腹痛による緊急手術,他の3例は腹部腫瘤の触知を契機にCTなどで腫瘍として同定され予定手術が施行された.悪性リンパ腫の1例は腫瘤を触知し診断の後予定手術が施行されたものの,もう1例は穿孔で発症し緊急手術を行い診断された.クローン病は2例が穿孔,1例が多発狭窄に伴う腸閉塞で発症しいずれも緊急手術であった.その他転移性小腸腫瘍1例に対し予定手術が施行された.【考察】空腸・回腸の疾患は絞扼や穿孔などの救急疾患がほとんど,深部小腸の腫瘍性病変において6例のみが小腸内視鏡の適応となると考えられる.すなわち小腸切除を行う症例のわずか5.4%のみが適応であった.しかし腫瘍性病変に限局すればその頻度は54.5%となる.精査としての小腸内視鏡は重要な他にない手段であるものの,小腸のscreening検査をどのような患者に行うことで緊急手術例を減らすことが今後の課題となるものと考えられた. |
索引用語 | 深部小腸, 切除 |