セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
小腸-その他
|
タイトル |
外P-450:長期完全静脈栄養を行っている短腸症候群における亜セレン酸院内製剤投与の増量と血中及び毛髪中セレン濃度
|
演者 |
鷲澤 尚宏(東邦大医療センター大森病院・栄養治療センター) |
共同演者 |
小園 幸輝(東邦大医療センター大森病院・栄養治療センター), 長沼 広和(東邦大医療センター大森病院・栄養治療センター), 木村 友紀(東邦大医療センター大森病院・栄養治療センター), 名波 竜規(東邦大医療センター大森病院・栄養治療センターDELIMITER東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 松田 聡(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 土屋 勝(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 石井 淳(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科), 金子 弘真(東邦大医療センター大森病院・消化器センター外科) |
抄録 |
【目的】完全静脈栄養の症例では,微量元素のセレン(Se)が欠乏する事があるが,市販の注射製剤は存在しないため院内製剤が使用されている.また,生体内のSeの量を測定することは難しく,一般的には血清濃度のみが指標とされている.そこでSeの過不足を検討することを目的に血清及び毛髪中Se濃度を測定しているが,今回は,安全のため,徐々に増量した結果を検討した.【対象】症例1は胃が全て存在し,十二指腸と吻合された横行結腸の口側には上行結腸と回腸末端,一方の肛門側には下行結腸,S状結腸と直腸肛門がある.症例2:幽門側胃切除術後であるが,BillrothI法で再建され,幽門から十二指腸へ食物が通過し,吻合した結腸へ排出されている.2例とも静脈栄養は市販の高カロリー輸液に加え,経口自由摂取で行われた.Seは院内調整した製剤を使用した.亜セレン酸ナトリウム5水塩(5H2O)を,40μg/週,80μg/週,120μg/週と徐々に増量しながら経静脈的に投与した.【方法】早朝空腹時の血清濃度を4回測定し,毛髪採取は,計4回実施した.毛髪中微量元素は質量分析装置ICP-MSにより測定した.【結果】Se濃度は,40μg/週投与時点で4.1~6.8μg/dLで推移したが,80μg/週に増量すると健常人の平均値に近い9~14.8μg/dLまで上昇した.毛髪Se濃度は44.1~291ppbであった.【考察および結語】Se欠乏症状はみられなかった.Seは慢性的に不足傾向である可能性があったが,投与量の増量で正常域に近づけることができた.長期の完全静脈栄養を必要とする短腸症候群患者は,微量元素の吸収障害のみならず,腸管病変や全身状態の変化によっても必要量が変わることが考えられるため,投与量を大きく設定する必要がある.しかし,静脈注射の量と中毒域の関連性は明確になっていないため,慎重に計画しなければならない. |
索引用語 |
セレン, 完全静脈栄養 |