セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-その他

タイトル 外P-452:

当院における門脈ガス血症と腸管気腫症18例の検討

演者 杉本 聡(守口敬任会病院・外科)
共同演者 鄭 賢樹(守口敬任会病院・外科), 谷浦 允厚(守口敬任会病院・外科), 植野 吾郎(守口敬任会病院・外科), 金沢 景文(守口敬任会病院・外科), 竹原 寛樹(守口敬任会病院・外科), 高山 昇一(守口敬任会病院・外科), 西原 政好(守口敬任会病院・外科), 丸山 憲太郎(守口敬任会病院・外科), 権 五規(守口敬任会病院・外科), 島田 守(守口敬任会病院・外科), 李 喬遠(守口敬任会病院・外科), 岡 博史(守口敬任会病院・外科)
抄録 【目的】門脈ガス血症(HPVG)は腸管壊死の兆候とされてきた.また腸管気腫症(PCI)とHPVGの合併は強く腸管壊死を示唆する所見であるとの報告もある.近年腸管壊死に起因しないHPVGやPCIも散見され,保存的加療にて軽快した症例も散見される.今回我々は過去5年間に経験したHPVGとPCIについて検討を行った.【方法】2008年5月から2012年12月までの間に当院で経験したHPVGとPCIの18例.性差は男性9例,女性9例.平均年齢71.8歳.基礎疾患として慢性腎不全5例(含 維持透析4例),糖尿病2例,陳旧性脳梗塞2例,心房細動2例,大動脈炎症候群1例,肝硬変1例.受診時主訴として腹痛を呈した症例10例,嘔気・嘔吐3例,偶発的に見つかったのは1例であった.血液検査では炎症所見の上昇以外に特異的な所見は乏しかった.18例中17例はCTにて診断を得た.1例が下部消化管内視鏡検査にて偶発的に発見された.【成績】診断された18例に対して手術療法は10例に施行.手術の内訳は腸切除などの腸管虚血に対する手術が6例,試験開腹に留まったのは4例であった.手術を施行しなかった8例のうち保存的に軽快したのは5例.残り3例は,強く腸管虚血が疑われるものの耐術能に乏しい手術不能例だった.手術にて腸管虚血を確認した6例と,手術を施行できずに亡くなった3例の計9例を腸管虚血群とし,腸管非虚血群9例と腹部所見・CT所見・血液検査所見について検討を行った.腹部所見では腹膜刺激症状,CTではHPVGとPCIの合併が腸管虚血を強く示唆する所見と考えられた.また血液検査では血液ガス分析が比較的に腸管虚血の有無と相関があった.以上を踏まえて当院での治療フローチャートを作成した.【結論】HPVG・PCIを呈する症例の中で穿孔や腹膜炎の除外が難しい場合は血液検査を参考に診断を進める当院のフローチャートは有用と思われた.また,診断に苦慮する場合には躊躇せずに診査腹腔鏡検査を行うことが現時点では妥当と考えられた.
索引用語 門脈ガス血症, 腸管気腫症