セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-虚血性疾患

タイトル 外P-456:

急性腸間膜虚血性疾患に対するセカンドルック手術を想定した治療戦略とそのアウトカムに関する検討

演者 中村 敏夫(高知医療センター・消化器外科)
共同演者 上月 章史(高知医療センター・消化器外科), 住吉 辰朗(高知医療センター・消化器外科), 公文 剣斗(高知医療センター・消化器外科), 寺石 文則(高知医療センター・消化器外科), 尾崎 和秀(高知医療センター・消化器外科), 志摩 泰生(高知医療センター・消化器外科), 福井 康雄(高知医療センター・消化器外科), 西岡 豊(高知医療センター・消化器外科)
抄録 【はじめに】広範囲急性腸間膜虚血に対し大量腸切除を余儀なくされることは少なくないが,術中どこまで切除するかの判断はしばしば困難である.われわれは,このような状況では不可逆的と判断された虚血腸管を可及的切除して迅速に手術を終え,その後早い時点でセカンドルック手術により最終的な切除範囲を決定し再建を行うことで可能な限り腸管を長く温存するよう努めている.【症例と結果】われわれが経験した広範急性腸間膜虚血症例において,意図的セカンドルック手術を施行したのは第1例目の平成22年4月以降これまでに計4例で,男性2例,女性2例,年齢は平均73.2歳(56-82歳)であった.虚血の原因は術後の内ヘルニアによる絞扼2例,急性SMA閉塞1例,NOMIが1例であった.初回手術終了に際し,3例はsilo closureによる仮閉腹,1例は回腸人工肛門を造設のうえ閉腹.初回手術終了からセカンドルック手術開始までの時間は平均21.7時間(11.5-37.7時間).セカンドルック手術までは全例人工呼吸器管理を行ない,2例では血液浄化も行われた.セカンドルック手術時に追加腸切除が必要と判断されたのは1例のみであった.セカンドルック手術後の経過としては,全例で再建吻合部の術後縫合不全は認めず.NOMIの1例がセカンドルック術後27日目に呼吸不全,腸管虚血再燃で死亡,内ヘルニアによる絞扼の1例で温存腸管の複数個所に狭窄を認めた.残り2例の経過は良好であった.【考察】セカンドルック手術時には残存腸管の虚血性変化が可逆的か否かの判断は容易となることから,これを前提に初回手術に臨めばより長く腸管を残せる可能性があり,縫合不全などの合併症低減も期待できる.しかしセカンドルック手術は初回手術の結果観察であり,追加切除を要したのが1例のみであったことは,初回手術時に全身状態を悪化させない必要十分な切除範囲を決めることが依然困難であることを示唆している.
索引用語 急性腸間膜虚血, セカンドルック手術