セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-虚血性疾患

タイトル 外P-458:

急性腸間膜動脈閉塞症の術前にプロカルシトニン測定を行った症例の検討

演者 山本 希治(福岡大・消化器外科)
共同演者 乗富 智明(福岡大・消化器外科), 池田 裕一(福岡大・消化器外科), 長野 秀紀(福岡大・消化器外科), 武富 啓能(福岡大・消化器外科), 松岡 信秀(福岡大・消化器外科), 山下 裕一(福岡大・消化器外科)
抄録 急性腸間膜動脈閉塞症は腸間膜動脈が閉塞し広範囲の腸管虚血,壊死に至る予後不良疾患である.一方,血清プロカルシトニン(PCT)は敗血症の重症度と相関し感染症のマーカーとして臨床上の利用価値は高まっている.我々は,急性腸間膜動脈閉塞症における血清PCT値を他の敗血症の重症度判定としてのAPACHE IIスコアやSOFAスコアと比較し術前PCT値測定の意義を検討した.対象は当院で緊急手術を行った急性腸間膜動脈閉塞症の4例である.2例は上腸間膜動脈閉塞症で2例が下腸間膜動脈閉塞症の症例であった.急性腸間膜動脈閉塞症の年齢の中央値は79歳(70~81歳),男女比は1:3であった.4症例とも腸管壊死により腸管大量切除術を要した.PCT値の中央値は56ng/ml(2~100)で10ng/ml以上の高値が3症例,そのうち2症例は100ng/ml以上の高値であった.いずれの症例もAPACHE IIスコアは20以上で,SOFAスコアが10以上は3症例であった.4症例のうち3症例は救命し得たが,1症例は術後22日目で多臓器不全により死亡退院となった.PCT値の高値は細菌感染を示唆しており白血球数やCRPとも相関した.DIC scoreも高値であった.したがって,大量腸管壊死を生じた急性腸間膜動脈閉塞症に対するPCT値測定は有用であると思われた.検索し得た範囲では,血清PCT値と急性腸間膜動脈閉塞症に言及した報告はなく,本検討により血清PCT値測定が急性腸間膜動脈閉塞症の術前重症度診断に有用である可能性が示唆された.
索引用語 急性上腸間膜動脈閉塞症, プロカルシトニン